幸せになる方法
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(な、何するんですか?)

(そっちこそいきなり何言ってくるんだよ!折角平和的に話が終わりかけたのに!!)

(はぁ?別に僕がこれから言う話はそんな物騒なものじゃないですよ?)

(そうかも知れないけど!でも…獄は地獄で、寺は悪鬼を封じる所って言うつもりだろ!?)

(…え?)

(で、転じて魔物を撃つ者とか言うつもりなんだろそうなんだろー!?)


「なんだお前らえらい仲良いな」

「いやいやいやいや。ちょっと待って下さいよお二人とも」


骸はツナを引き剥がし。オレに向き合ってくる。


「隼人くんもこっちの彼も勘違いしてます。…いえ、勘違いしている内容は全然違うのですが…」


なにやら混乱している様子の骸。なんだかさっきからころころ表情が代わって面白い。


「えーとまず隼人くん。別に僕達は仲が良いわけじゃなくて…それから、えーとツナくん?は思いっきり思い違いしてますね」

「思い違いって…なんだよ」

「ていうか二人とも一体なんの話をしてるんだ?」

「いや、だから…」

「ですから貴方の苗字の話ですよ。…隼人くん。貴方の苗字はお父様のものですよね?」

「ん?あ、ああ…」


骸はツナに「大丈夫ですよ」と言う。…何が大丈夫なのか分からないがまぁ大丈夫なのだろう。


「知ってますか?獄寺の獄は地獄の意。地獄に住まうものの意」

「っ、やっぱり…!」

「ですから落ち着いて下さいって、…そして。寺は心安らぎの間。つまり獄寺は魔物を守るものの意。なんですよ?」

「え…?」


その声が漏れたのは、ツナの口から。


「クフフ。貴方は最初から最後まで、ご両親に愛されていたみたいですね」

「……」


「それにしてもどこで聞いたんですかそんなデマ。そんなものに騙されないで下さいよ」

「そ、それはお前の連れが…!」

「連れ?」


それって犬と柿のことですか?と骸は首を傾げて。


「本当ですか?犬?柿?」

骸が窓の外に声を掛ける。すると…

「「………」」


うわ。本当に出てきた。


「もう。一体なんてこと言ってるんですか。もっともらしいこと言われると単純…もとい純粋な子はすぐ信じてしまうのですから嘘を言ってはいけませんよ?」

「らって…」

「すいません、骸様」

「って柿ー、そんなすぐに謝るなよー!」

「骸さまの思惑に反することをしたのは…事実だ」

「クフフ。まぁ何かしら事情があったのかも知れないですけど。…どうしてそんなことをしたんです?」

「だって骸さん!オレらが血の滲むような思いをして手法を得て散々苦労して旅をしてきたのにこんなガキが呪い解いてたんれすよー!」

「しかも…神と成っての苦労を図らず、暢気そうに日々を過ごしていたのが…気に食わなかったようです」

「って柿もそうだろー!?だから止めなかったんだろ!?」

「………」

「あーはいはいはいはい。分かりました。分かりましたから喧嘩しないで下さい」


窓の外で不貞腐れる犬と黙り込んでる千種。そしてそれをなだめる骸がなんだかおかしくて。オレはつい笑ってしまう。


「く、ふふふ、あはは…」

「おやおや。隼人くんは可愛いですねぇ。…そんな顔見せないで下さいよ。またキスしたくなるじゃないですか」

「っ!!だ、駄目駄目駄目!!」


骸の冗談をツナは本気として捕らえたのかオレのと間に割り込んでくる。その必死な様子が、更におかしくて。


「クフフ…さて、これ以上ここにいるとここに永住したくなっちゃいますから。今度こそ僕たちはお暇しますね」

「さっさと行っちゃえよ!もう!!」

「こーら、ツナ。冗談でもそんなこと言っちゃ駄目だぞ?」

「…本当なら。貴方を僕達の村にも案内したかったのですけどね。…いつか機会があれば是非来て下さいね」

「…ああ、そうする」

「それでは、僕達はこれで」


そう言って骸は部屋から出て、外の犬と千種と合流する。

三人はオレたちに手を振って…そのまま去って行った。


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そうして来訪者は帰り。