幸せになる方法
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日記はそこで終わってて。

オレは涙で、もう目の前が見えてなくて。

ツナはそんなオレを、ぎゅっと抱き締めてくれていて。

…ああ、ああ。そういえば言っていたじゃないか。骸が。


「あ。そうだ。そういえば隼人くん。貴方の名前は…お父様が付けられたのですか?」

「ん?ああ…確か親父の家系の関係で、オレの名は親父が付けたはず…だ」

「そうですか」


骸は知ってたんだ。オレの名前の由来。

だからあんな…嬉しそうな顔をして。

…本当、オレ馬鹿だ。


「クフフ。貴方は最初から最後まで。ご両親に愛されていたみたいですね」


本当に。そうだった。

なのにそれにオレは気付かなかった。…気付けなかった。

涙が溢れて、止まらない。身体の震えも。止まらない。


「獄寺くん…」


ツナはそんなオレを優しく撫でてくれる。心地良いそれに、でもオレなんかが浸ってもいいのかと疑念も抱いて。


「ね。獄寺くん」

「…ん?」

「いつか…いつかさ。骸さんたちの村に行こうか」


「え…?」

「きっとあるよ。獄寺くんのおとうさんとおかあさんのお墓。…お墓参りにいつか行こうよ」

「ツナ…」

「あ、でもその前に沢山体力付けないとね。獄寺くん今身体弱そうだし」

「…そうだな。行きたいところも、やりたいことも沢山あるんだ」

「へぇ…たとえば。どんな?」

「まずな、晴れの日に木陰で昼寝がしてみてーだろ?それに海にも一度行ってみたいし…ああ、山奥の滝にも興味がある」


それからそれからと、オレの口から言葉は尽きない。

花火というものも見てみたいし、夜空の星を数えてみたい。

甘い菓子も口にしてみたいし、ああそうだ。演劇と言うものも見てみたいな。


そして…祭り。

楽しんでみたい。今度こそ…

ツナと。一緒に。


「な、ツナ。…オレは楽しんでもいいのか?」

「それがみんなの望みなんだよ?だから叶えてあげないと」

「オレだけがそんなに想われて…罰が当たらないかな」

「当たらない。…オレが、当てさせないよ」

「そりゃあ頼もしい」

「うん…だからさ。獄寺くん。まずは寝よう?休んで、体力付けて…獄寺くんのやりたいこと全部しよう?」

「…全部出来るかな」

「出来るよ。きっと」

「そっか…それじゃあ、寝るな。なんか一気に疲れちまった」

「うん。獄寺くん」


ツナはオレの手をぎゅっと握って。


「おやすみなさい」


そう囁いて、愛情表現なのだろうか、オレに優しい接吻をしてくれた。

なんだかくすぐったくて、照れくさくて。…そんな思いを抱きながら目を閉じると。

オレの意識は心ごと。深い深い闇の中へと吸い込まれていった。


その日見た夢は、幾羽か成長したオレとツナが骸たちの村に行って。

そうしてオレの親父とお袋の墓に花を添えている夢だった。


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そしてそれはきっと。

遠くない日の未来視。