さよなら理性
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「…?ようボンゴレ坊主。確か学校って所の廊下は走っちゃいけない決まりじゃなかったか…?」
そして雲雀さんと丁度入れ違いにシャマルが戻ってきた。
「あ、シャマル。どこ行ってたの今まで」
「ん?酒だけだと辛いと思ってつまみを色々買ってきた」
「つまみー!」
つまみの一言に反応したのか、突き飛ばされたままでしゃがみこんでいた獄寺くんが立ち上がってシャマルに近付く。
「って獄寺くん駄目だ!子供が出来る!!」
「出来るかそんなものー!!」
「つまみー!」
ああもう、獄寺くんはシャマルの持ってきたつまみの入った袋に反応しているだけだろうけど傍絡からみ見るとなんだかシャマルに抱きついてるように見えて。シャマルが憎らしい。
「もう獄寺くん!おつまみならそんな抱きつかなくても手に入るから!だから離れて!」
「やー、ですー」
なぁ!?
ご、獄寺くんがオレの言うことを断った…!?
「これが酒の力か…」
「何項垂れてんだお前」
「…隼人。お前、酒飲むと変わるんだな…初めて知った」
「なにばかなこといってんだよしゃまるー!おれはいつもどおりだって!」
それがいつも通りだったら今頃こんな所で酒なんて飲んでる事態になってないと思うよ獄寺くん。
「ていうか獄寺くん、シャマルのこと嫌いじゃなかったの…?」
「なにいってるんですか10代目ー!そんなことないですよー!」
「…へ?」
「しゃまるはー、おれのあこがれでー!だいすきなんですよー!!」
そう言っては、むぎゅーっとシャマルに抱きつく獄寺くん…ってちょっと待って!
「だ、大好きって、大好きって…!」
「しゃまるはー、おれのおやじっつーかあにきっつーかそんなかんじで。だいすきですー!」
…え、あ…そんな感情の好き?ああびっくりした…
「いや、でもそれでも抱きついて欲しくないのが男心…!」
「お前なに言ってんだ?」
うるさいリボーンは放っといて。抱きつかれてるシャマルはというと…
「…あー、やべー。隼人萌えー」
なにやら良く分からない分かってはいけない未知の単語を使っていた。
「ってシャマル!獄寺くんがシャマルのこと好きって言ってるのは決してそっち方面じゃないから勘違いしないでよね!」
「別にいいよどっちだって。この隼人の笑顔の前なら大抵のことはどうでも良くならぁ」
…へ?
獄寺くんの…笑顔の、前?
「ご、獄寺くんー…ちょっとこっち向いてみて?」
「はい?」
くるり。そんな感じでこっちを見た獄寺くんは…
「ぐぁ…」
限りないほど満面の笑みだった。それはもうオレに向ける笑顔のような。
あー、もしかしてさっき雲雀さんが走って行っちゃったのって、まさか…
「ご、獄寺くん…まさか雲雀さんにもそんな顔で接しちゃったの…?」
「なにいってるですか10代目ー!」
ほ…良かった、違うよね。
「おれはいつだってこんなかおじゃないですかー!」
――それがいつも通りだったらまず間違いなくこんな所にいないから!まずそれ分かって獄寺くん!!
「ああああああああもうばかばか!とにかくこっち!こっち来て!!」
言って。オレは獄寺くんを無理矢理自分側に引っ張ってきて。獄寺くんは訳が分かってない顔していて。
「?なんですかー?」
いや、なんですかって獄寺くん。
「えー…っと」
………。
しまった。なんて言おう。
まさかオレ以外の人間にその笑顔を向けないでなんてシラフじゃ言えないしね!
あわあわしているオレに対して獄寺くんはにこにこしいてる。
「えと、その…」
「はい」
いやその…本当なんて言おう。
「お…お酒なんてもう飲んじゃ駄目だよ!」
「へ?なんでですか?こんなにおいしいのに」
「何でもなにもないの!色々事情があってとにかく駄目なものは駄目!!」
そう言った途端、今までとろんとしていた獄寺くんの目が少しだけ前を見た。
「…おきらい、ですか?」
「…へ?」
「…さけ…のむやつ。10代目は、おきらいですか?」
「い、いや、そんなこと…」
「おれは10代目のこと、すきで。あいしていますけど」
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