さよなら理性
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獄寺くんは、そこで一旦言葉を区切って。
「…10代目は、おれの、こと…おきらい、ですか?」
少し寂しそうに、そう言って。
―――ふらりと、オレの方へと倒れ掛かってきた。
「うわっ獄寺くん!?」
受け止めた獄寺くんは静かに寝息を立てていて。
…どうやら、酔い潰れてしまったようだ。
「…リボーン」
「ん?」
「――酒!何でもいいから酒持ってきて!!」
「いきなりどうした?」
「酒は獄寺くんの毒だということがよく分かった!よって流して処分する!!」
「おいおい、勿体無い事するな。これ結構高い酒なんだぞ?」
「そうそう。…それに、将来の為にもここらで酒に対する耐性もつけとかねぇとな」
……ん?
なに、この怪しい風向きは。
「ちょ、だからオレは…」
「嫌なら獄寺が目を覚ましてからまた飲ませるが」
「謹んで飲ませて頂きます!!!」
※ ※ ※ ※ ※
―――そうして、どれほどの時がたったのか。
オレは身体を揺すられて起きる。頭ががんがんと鳴いている。痛い。
「じゅ――だいめ。大丈夫ですか…?」
目を開けて。飛び込んできたのは心配そうにオレを見つめる獄寺くんで。
リボーンとシャマルは…いない。ついでにあの大量にあった酒瓶も。
オレの最後の記憶によると、まだまだ酒はあったみたいだからどこかに移動して楽しんでいるのだろう。オレは獄寺くんと共に置いてきぼり。
「あ…獄寺くんおはよう」
「おはようございます。…ところで、えっと…なにか、あったんですか?」
「え?」
そういう獄寺くんは決してふざけてなくて。…いや、獄寺くんはいつだって真面目だけどさ。
「あの、オレ…シャマルに呼び出されて保健室に来た辺りで記憶が飛んでるのですが…」
え、ちょ…ちょっと待って?
「え…獄寺くん。本当に何も、覚えてないの?」
「なにをですか?」
…マジですか。
「―――獄寺くん。一つ聞くよ?真面目に答えてね?」
「?…は、はい」
その真剣な声に、オレは一呼吸して――
「獄寺くんは、オレのこと…好き?愛してる?」
「………」
「………」
「――…!!!」
おお、獄寺くんの顔がまるでゆでだこのように。
「なななななななな、なんてこと聞いてきますか10代目ー!!」
ああ、うん。これだ。これでこそ獄寺くんだ。
「オレは、その…っですね!えと…だから!」
未だにオレの問いに答えられなくて。あわあわしている獄寺くんが愛おしくて。
「獄寺くん」
「は、はい!」
「今後一切…お酒飲むの、禁止ね」
「はぁ…って、え?」
獄寺くんは突然の話題の切り替えについていけないようで。頭の上に見えないクエスチョンマークをいくつも浮かべてる。
「絶対絶対ぜーったい、禁止だからね?」
オレは更に飲むなと念を押してから。思い出したように一言付け加えた。
「…オレの前、以外では絶対ね」
余談。最近雲雀さんの様子がおかしいらしい。
なんでも、いつもぼうっとしていて。溜め息を吐いたかと思うと急にはっとした様子になり、頭をごんごんと壁にぶつけるとか。
ついでにその時運悪く近くを通り掛った生徒の証言によると、雲雀さんは随時
「やばいやばいやばいって!何あの顔!あんな顔出来るだなんて知らない!ていうか反則!ちょ…駄目だって無理無理無理!」
…と、そんなことを口走っていたらしい。
学校での飲酒行為が公認になる日が来ないようにと願うばかりです。
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だだだ、大丈夫…だよね?
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