本物への道
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リボーンさんの病室を見つけ、オレは控えめにノックをする。一呼吸置いて返って来たのはあの人の「入れ」という言葉。


「失礼します」


室内にはリボーンさんがいつも通りの黒いスーツに身を包んでベッドに腰掛けていた。左脇には白銀に輝く細い杖が置いてある。

オレが室内に入ると同時にリボーンさんは顔をしかめた。…ああ、ほら10代目。やっぱりオレにはこれきつい仕事です。


「何しに来た」

「…10代目から何も聞いてませんか?リボーンさんの補助をするようにと仰せ付かって参りました」

「ツナが?」


オレがはい、と答えるとリボーンさんは舌打ちをする。目付きは鋭くまるで誰かを刺すように尖った。


「ツナの奴…嫌がらせか?」


そう言うあなたのその発言はオレにとっての嫌がらせでしょうか?

正直泣きたくなって来たんですけど。


「はぁ…まぁいい。補助に来たなら補助に使ってやるからこっちに来い」

「は…はい!」


リボーンさんは駆け寄ったオレを掴むとその反動で立ち上がる。左には杖を持ってバランスを保っていた。


「もういい」


言うが早いがリボーンさんは自分からオレと離れる。…どうやら立ち上がるときには補助が必要らしいが歩く分には杖があれば支障ないらしい。頭に書き込んでおく。

リボーンさんは病室を出て行こうとする。と、扉が閉まっていたので(というかオレが閉めた)小走りして扉まで向かって開けた。


「これぐらい、自分で出来るぞ」

「…オレはあなたの補助なので」


馬鹿にするな、とか言われるんじゃないかと内心はらはらしたがリボーンさんは無言で外に出た。