本物への道
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「リボーンはどんな様子だった?」


と、聞いてきたのはシャマル。今ここにいるのはオレとシャマルだけだ。

あれから数時間。日も沈みかけ業務も終わりあとは部屋に戻るだけ…となったところでリボーンさんはオレに「お前は絶対に着いて来るな」と言ってどこかへと行ってしまった。

一応仮にもオレはリボーンさんの補助なのですが…と思ったがそこでシャマルに捕まった。

ああ、リボーンなら心配するな。これからあいつが行くとこならあいつも無茶はしねぇ。と言って。

リボーンが戻ってくるまで話し相手になれと言って。

そして二人きりになって開口一番が先ほどの言葉だったが…どんな様子かと言われてもな。


「どんなって…いつも通りだったけどな」


オレから見て。の話だけど。


「そうか…」


シャマルは急に声を落とし顔を俯かせ影を作る。


「実はな…ここだけの話、リボーンはもう長くないんだ」


………長くない?


「…って………それどういう意味だよシャマル!!」

「無論そのままの意味だ。……これが分からないほど子供ってことはないだろ隼人」

「そんな…」


リボーンさんが?あのリボーンさんがもう長くない?

杖がある以外はいつも通りで。それを除けば業務も淡々とこなしていたリボーンさんが!?

オレは何を見てた?リボーンさんは本当は辛かったんじゃないのか?なのにそれに気付かないで何が補助だ…!


「…おい?隼人?」

「なぁシャマル!!」

「うお!?」


急に飛び掛ったからかシャマルが驚く。しかしそんなことを気に掛けてる場合ではない。


「リボーンさんは…本当にもう長くないのか!?助からないのか!?」

「落ち着け隼人!」


落ち着くなどと無理な話だ。あのリボーンさんの生死の問題なのに。

オレは思いっきりシャマルの腕を掴みギリギリと掴み千切れさせるような思いで掴んで逃さないようにする。


「…!!嘘だ冗談だ!リボーンは足を除けば健康体で死ぬ要素なんてない!だから落ち着け隼人!!!」


大声で言われたシャマルの言葉にオレの頭が一気に冷める。

………嘘?


「嘘なのか…?リボーンさんが長くないって」

「ああそうだ。単にお前の反応が見たくて悪ふざけをしただけだ。………悪かった」

「なんだ…そっか……」


よかった…本当に。

はぁ、と一息吐いたところでリボーンさんが戻ってきた。


「なんだまだいたのか、お前」

「リボーンさん!!」


オレはぱっと手を放しシャマルから離れリボーンさんへと近付く。


「リボーンさんの為なら何時間だって待ちますよ!」

「……………そ、そうか」


リボーンさんは何故か少し面食らったような顔で頷いていた。

その日から、オレはリボーンさんの補助として日々を過ごすことになった。

動かぬリボーンさんの足となり、杖を持つリボーンさんの腕となってフォローをする。

だけどやっぱりリボーンさんは何日かに一度オレを置いてふらりとどこかへ行ってしまい、また戻ってくる。その間、オレはずっと待っている。


それがオレの日常となった。


そうしてその日常がある意味崩れ、ある意味確定したのはオレがリボーンさんの補助となってから138日が経った、ある日のこと。

舞台は人気のない廃ビルの密集地帯。せっかく(オレだけが)楽しく二人で歩いていたというのに、無粋な邪魔が入ったある日のことだった。