本物への道
6ページ/全9ページ


「リボーンさん、」

「分かってる。あの程度ならお前ひとりで平気か?」

「お任せ下さい」


リボーンさんが負傷したと言う噂を聞きつけてか、リボーンさんを狙う輩が本人曰く以前の三割ほど増えたらしい。

リボーンさんの足であり腕であり補助であるオレは当然ながらリボーンさんの代わりに迎え撃つ。


「オレは先に行ってるぞ」

「はい、すぐに追いつきます」


リボーンさんはオレの返答を最後まで聞きもせずに背を向け歩き出す。

ある意味信頼されているのだ。そう思えば単純な頭は嬉しいとも思う。


「リボーンさんはお前らと違って忙しい身なんだ。リボーンさんと遊びたいならまずはオレを倒すことだな」


オレだって忙しい身だ。早くこの程度の奴等なんて屠ってリボーンさんの補助へと回らないと。

銃声が響く。人が死んでいく。暫くして、辺りが静かになる。

…はて。今回はやけにあっさりと終わったような。手応えがない。歯応えも。言ってしまえば物足りない。

…今回は相手のレベルが低かったのだろうか?いやしかし仮にもあのリボーンさんに立ち向かおうとするような相手だぞ…?

焦っていた気持ちがなかったわけではない。早く終わらせたい気持ちも。


だけどこれは………


背を見ると遠くにリボーンさんの影が見える。

オレは急いでリボーンさんを追った。リボーンさんがある一つの廃ビルを通り過ぎようとする。

―――廃ビル内部より熱感知。量からして推測されるのは…爆弾?


「リボーンさん!!」


オレが叫ぶとリボーンさんは振り返る。次いで廃ビルに目をやり察したのかそこから離脱しようとする。

だけど…片足の自由が利かない身体では機敏に動けるわけがない。


オレが助けなければ。


オレは更に急いでリボーンさんへと走る。熱量は段々と上がっている。

オレはリボーンさんを抱きしめて転ぶ。同時に廃ビルが爆発し背に熱と衝撃を受ける。

どこかで似たようなことがあったような気がした…けど。それはどこだったのかどうしても思い出せなかった。

…というかそうだ、今はそんなことよりもリボーンさんだ。


「ご無事ですか?リボーンさん」

「………」


リボーンさんは無言だ。黙ってオレの腕を見ている。って、オレの腕?

オレも釣られて腕を見てみた。

肘から先が吹っ飛んでいた。

ていうか、

裂けた皮膚の中から見えたのは、赤い血でも肉でもましてや骨でもなく。

割れた金属と、千切れたコードと、バチバチと音を鳴らせている電気だった。