本物への道
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「リボーンさん、」
「分かってる。あの程度ならお前ひとりで平気か?」
「お任せ下さい」
リボーンさんが負傷したと言う噂を聞きつけてか、リボーンさんを狙う輩が本人曰く以前の三割ほど増えたらしい。
リボーンさんの足であり腕であり補助であるオレは当然ながらリボーンさんの代わりに迎え撃つ。
「オレは先に行ってるぞ」
「はい、すぐに追いつきます」
リボーンさんはオレの返答を最後まで聞きもせずに背を向け歩き出す。
ある意味信頼されているのだ。そう思えば単純な頭は嬉しいとも思う。
「リボーンさんはお前らと違って忙しい身なんだ。リボーンさんと遊びたいならまずはオレを倒すことだな」
オレだって忙しい身だ。早くこの程度の奴等なんて屠ってリボーンさんの補助へと回らないと。
銃声が響く。人が死んでいく。暫くして、辺りが静かになる。
…はて。今回はやけにあっさりと終わったような。手応えがない。歯応えも。言ってしまえば物足りない。
…今回は相手のレベルが低かったのだろうか?いやしかし仮にもあのリボーンさんに立ち向かおうとするような相手だぞ…?
焦っていた気持ちがなかったわけではない。早く終わらせたい気持ちも。
だけどこれは………
背を見ると遠くにリボーンさんの影が見える。
オレは急いでリボーンさんを追った。リボーンさんがある一つの廃ビルを通り過ぎようとする。
―――廃ビル内部より熱感知。量からして推測されるのは…爆弾?
「リボーンさん!!」
オレが叫ぶとリボーンさんは振り返る。次いで廃ビルに目をやり察したのかそこから離脱しようとする。
だけど…片足の自由が利かない身体では機敏に動けるわけがない。
オレが助けなければ。
オレは更に急いでリボーンさんへと走る。熱量は段々と上がっている。
オレはリボーンさんを抱きしめて転ぶ。同時に廃ビルが爆発し背に熱と衝撃を受ける。
どこかで似たようなことがあったような気がした…けど。それはどこだったのかどうしても思い出せなかった。
…というかそうだ、今はそんなことよりもリボーンさんだ。
「ご無事ですか?リボーンさん」
「………」
リボーンさんは無言だ。黙ってオレの腕を見ている。って、オレの腕?
オレも釣られて腕を見てみた。
肘から先が吹っ飛んでいた。
ていうか、
裂けた皮膚の中から見えたのは、赤い血でも肉でもましてや骨でもなく。
割れた金属と、千切れたコードと、バチバチと音を鳴らせている電気だった。
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