本物への道
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「リボーンさん!!」

「…獄寺」


オレが声を掛けると、相変わらず白銀の杖を片手に持って歩いていたリボーンさんは露骨に嫌な顔をしました。

まぁ、嫌われてるのは解ってます。のでこの反応も予想範囲です。


「先日は大変ご迷惑をお掛け致しました…でももう大丈夫です!獄寺隼人、復帰しました!!」

「…先日って、お前そのときの記憶残っているのか?」

「はい、だらしなく取り乱してしまい本当に恥ずかしく…しかし同じ過ちは繰り返しません!!」

「本当か…?」

「はい!以前は自身の自己管理及び自己認識の不届きがあった為あのような失態が展開されましたが今度は大丈夫です!」

「………」


ああ、信じてない。その顔はさては信じてないですねと判断します。


「オレはボンゴレ科学班獄寺隼人開発部試作機獄寺隼人第一号。主な仕事はリボーンさんの補助と本物と見分けが付かないぐらいの獄寺隼人になることです!!」


言い終わるや否や、リボーンさんは多分手加減無用でオレの頭をぶん殴った。

思いっきり頭が揺れてオレは倒れた。

杖ではバランスが保ちきれなかったのか、リボーンさんも倒れた。


オレの名前は獄寺隼人。ボンゴレファミリーで作られた。

オレの隣には早く本物の獄寺隼人になるようにと願う獄寺隼人の陶酔する人がいて、獄寺隼人の姉がいて、獄寺隼人の尊敬する人物がいて。


そして獄寺隼人が愛した人がいて。


オレの仕事は片足の動かないリボーンさんの補助と、ここにはいない獄寺隼人に成りきること。

それがオレの日常。


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オレは本物の獄寺隼人に近づくため毎日書き換えられています。それがオレの「役目」だから。

それでもオレがリボーンさんが好きなのは変わりません。何故なら何があっても獄寺隼人はリボーンさんが「好き」だから。