Roman - 彼との絆 -
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マーモンが進んでいく中をリボーンたちが並んで着いていく。

どれほど歩いた頃だろうか、不意に―――霧が辺りに立ち篭る。


この辺だよ。というマーモンの声が聞こえた。この辺?どの辺だ。辺りを見渡すがリボーンには何も見つけられなかった。

と、


「見つけたぜ、コラ」


その声に見てみれば、少し遠くにコロネロが。

彼の前には…なるほど、赤く光り輝く石が壁にめり込んでいた。宝石の原石か。


これ以上ないほどのお宝だろう。コロネロは小さな腕を必死に伸ばしてそれを掴み取ろうとする。

けれどそれを見ていたリボーンが制止の声を上げる。


「待て、コロネロ」


おかしい。

マーモンが自分を含めて五人ものアルコバレーノを呼んだのにも関わらず、何の危険もないなんて。

どうにも話が巧く行き過ぎている。どこかで警報が大きな音を立てて鳴っている。

だけどそんなリボーンの声などコロネロの耳にはまったく入ってなかった。とにかく彼の頭の中は「これでラルの呪いが解ける」と。それだけで一杯だった。


…実は彼は本音を言うと、アルコバレーノの呪いが解けると言われても自分でも意外なほどに興味がなかった。

なのに収集に応じたのは…全てはラル・ミルチの呪いを解くため。


強くて脆い彼女のため。


嗚呼、これまで彼女の道は苦悩と苦痛の連続だったに違いない。

人間以上、しかしアルコバレーノ以下。半端な呪いの上、顔には亀裂まで入ってしまっている。

今までの彼女の苦労はなかったことにはならないけど、でもこれから受ける苦労を少しは楽に出来る。

それが今目の前にあるものを取るだけで解決出来る。あと少し手を伸ばせば届くだろう。


さぁ手を伸ばそう。さぁあれを手に掴もう。そうしたらきっと彼女の呪いは解ける。そうしたら、そうしたら、そうしたら―――



―――――頭部に違和感。



急に視界が暗転し、急速に力が身体から抜けていく。

けれどそれらに気を取られるよりも前にコロネロの意識が薄れる。


嗚呼霧が濃い―――


その思考を最後に、コロネロは死んだ。

コロネロの命を奪ったのは…スカル。彼の目は狂気に歪んでいた。