Roman - 呪われし者たち -
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「お前…お宝を手に入れて自分ひとりだけが先に呪いを解いてもらって!オレの呪いは解かせないつもりなんだろ!?そうなんだろ!?」


どんな被害妄想だ。リボーンはそう思ったが声には出さなかった。きっと声は届くまい。

…一体何があった?この地に集まった時はまだ普通だったように感じる。若干興奮していたようにも見えたがそこまででもなし。


スカルはずっと…自分たちとは一緒にはおらずずっとマーモンと一緒にいた。何かあるとすればそのときか?何があった?何事だ?霧が濃い。ああクソ思考が纏まらない!!

ともあれマーモンだ。リボーンがマーモンを探してみると、マーモンは少し離れたところで宙を浮いていた。そして笑っていた。


「ク…ククク。人間にしろアルコバレーノにしろ…根本は同じか。醜い。嗚呼なんて醜い」


あいつなんかキャラ変わってないか?


そう思うもそれを口に出すことは出来ず。それどころか微動だに出来なかった。

それは決して、マーモンの何かしらの術にやられたわけではなく。

屍となった腐れ縁に、覚束無い足取りで近付く一人の女性を警戒して

彼は仲間に殺されるべき人物だった?いいやそんなことはであった。


「コロ…ネロ?」


小さな亡骸からは破れた皮膚から絶えず血液が流れてる。体温は失われていきもう二度と温まることはない。

瞳は驚いたかのように見開かれ、そして腕は何かを掴むように前へと伸ばされていた。


何を掴もうとして?目の前の宝石の原石を取ろうとしてだ。

どうして取ろうとした?自分たちに掛けられた呪いを解くためだ。


なのに殺された?それも仲間に。
決してありえない。

あいつは馬鹿で無鉄砲で昔から―――そう、昔からだ―――考えなしに行動するような奴で。

負傷した仲間を庇うなんて日常茶飯事。死にたいのかといくら命があっても足りないぞと怒鳴ってもまるで堪えなくて。


生きてるからいいじゃねぇかと何度包帯姿の格好であっけらかんと言われただろう。その姿を見る度にこっちの心臓が止まりそうになるんだと何度言い掛けただろう。


こいつが倒れてる姿なんて何度も見てきた。血を流している所だって。

死ぬなら誰かを庇ってと勝手に決め付けていた。あるいは戦場の最前線で敵に討たれて、と。

なのに。それが。


仲間に殴られて?

仲間に、裏切られて?


―――ふざけるな。


ラルの身の内に渦るは強い喪失感と、絶望感。

そんなラルの目の前でこちらのことなど本当にないかのように意にも介さないようにスカルが必死に何かに手を伸ばしている。


何かってなんだ?

それはさっきコロネロが取ろうとしていたものだ。


途端、深い喪失感と絶望感が激しい怒りに変わった。

嗚呼霧が濃い―――