Roman - 彼との絆 -
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どうやってボンゴレまで戻ってきたのか、曖昧にしか記憶がなかった。

戻ったオレに駆け寄る仲間に…リボーンさんとコロネロを預けたのまでは覚えてる。

だけどそれきり。それきりだ。多分オレはそこで倒れた。そして目の覚めた先は真っ暗だった。


…ああ、やっぱり。

昼のはずなのに。明るいはずなのに辺りは薄暗かった。それが段々酷くなっていった。…多分いつか視力なくすだろうなぁなんて何故か他人事のように思ってた。


「獄寺くん?目、覚めたの?」


と、不意に聞こえてきた声に覚醒する。この声は間違えるはずもない10代目の声。


「あっ、はい10代目…」


辺りを見るも、広がっているのは闇だった。その事実に少しばかり怯む。


「…獄寺くん」


手を握られた。それでオレはやっと10代目の位置を知ることが出来る。…オレはやや見当違いな方向を見ていたようだ。


「……まったく、馬鹿な奴だ」


いつもの温度で、いつもの声が聞こえる。リボーンさんだ。


「…リボーン!何もそんなこと…!」


……ああ、リボーンさん。



「―――無事だったんですね」



自然に言葉が出た。


「よかったです」


ほぅ、と安堵の息すら出た。

あの時抱いた、とても小さな身体。


それがもう動かなくなったらと思うと、怖くて仕方がなかった。


だけれど…もう平気みたいだ。

よかった。本当に。


「馬鹿」


その発言を最後に、気配が一人分消えた。

………呆れさせてしまっただろうか?


「リボーン!…ああもうあの馬鹿は…!」

「いえ、あれでこそリボーンさんですから…そんなことよりも10代目、オレは…どれくらい寝てたんですか?」

「そんなことって……はぁ……獄寺くんは…丸二日間寝てたんだよ。今は夜」


夜なんですか。全然分かりませんでした。

オレは窓のあった位置を思い出して、そっちに視線を向けた。


「星は見えますか?」

「……え?」

「…今日は晴れてますか?雲は出ていますか?……星は綺麗ですか?」

「………」


言葉を捜すように無言になった10代目で、それできっと今日は満天の星空なんだろうと分かった。


オレにはもう、何も見えなかった。