Roman - 生と死の物語 -
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「リボーンさんを迎えに行ってきます」
「獄寺くん?」
にこやかにそう言えば、10代目は何故だか少し戸惑う顔をした。
はて。どうしてしまったのだろう。
「…リボーンさん、もう任務も終わってる頃です。オレ近くに用事があるので…ついでに行ってきます」
「それはいいんだけど…獄寺くん」
「はい?」
聞き返せば、やっぱり10代目は何かに戸惑うように言葉に詰まった。
…?10代目?
「あ…もしかして、何か急な仕事が入りました?ならオレやりますけど」
「いや、そうじゃない。そうじゃなくてね…獄寺くん、」
「はい」
「…あの、………あー…そういえば…用事って何?何しに行くの?」
「ああ、それはですね」
オレはにっこりと微笑んで。
「姉貴の墓参りです」
…どうして10代目、聞かなきゃよかったなんて顔をしたんだろう。
その場所には、先客が訪れていた。
黒尽くめの小さな人影。帽子を脱いで頭を垂れて…静かに黙祷していた。
「…お前も来たのか」
暫くして、背を向かれたまま声を掛けられる。
「…ええ。リボーンさん」
リボーンさんの隣に立って、オレも黙祷する。
と、何故か離れていく気配。
「あれ…どこに行くんですか?リボーンさん」
「オレがいると、邪魔だろう」
「そんな事ないですよ何言ってるんですか。…あー、待って下さいリボーンさん。オレリボーンさんを迎えに来たんですから」
「…オレを?なんで」
「実はリボーンさんに聞いて頂きたいお話がありまして」
「…なんだ?」
「…その、姉貴の後釜を…ですね。―――もし宜しければオレに……」
―――その光景を、遠くから見てる人物がいた。
「クフフ…」
男は笑っている。にこやかに。不自然に。
「おやおや…隼人くん断られてますよ。結構勇気を振り絞っての発言だったと思うんですけどねぇ今の…」
男は独り言のようにごちる。そして笑っている。それはもう楽しそうに。
離れていく影。それを見ながら、男は更に小さく呟いた。
「僕の変わりに、見届けて下さい。…彼らの、行く末を」
頼みますよ、僕の可愛いクローム。
そう呟き終わった頃には、男の姿は女の姿へと変わっていた。
彼女はどこかぼんやりとしていて…やがてどこか虚空を見据えて、一言。
「はい。骸様…」
そう小さく呟いて、彼女は彼がずっと見ていた方に目を向けるが…
そこにはもう、誰もいなかった。
++++++++++
けれどその視線の先にはその二人が。
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