Roman - 教え子の面影 -
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獄寺を起こしたのは、しとしとと降る雨の音だった。それと身体を叩くような痛み。
…ずっと続いている獄寺の身を蝕む傷み。けれど…はて。それがどこか治まっているように感じるのは気のせいか。
というか、そういえば自分は昨日の夜から晴れてリボーンの愛人になったのだった。しかもリボーンの呪いが解ければなんと恋人同士にすらなれる。
その事実を思い出して…それとリボーンの嬉しい言葉と……嬉しい行動を思い出して獄寺の顔が赤くなる。
しかもしかも、なんとあのリボーンと同じベッドで眠ったのだ。そのときの感動といったら…嬉しさに比例してかなり痛かった。が、気にしない。
まぁそれはそうと今は隣にいる想い人に声を掛けようではないか。いや、リボーンさんのことだから既に起きていてオレの百面相を笑ってるかも知れない。と獄寺は思った。
「お、おはようございます。リボーンさん」
獄寺はそう言って、すぐ傍にいるはずのリボーンに声を掛けた。
…が。
「………リボーンさん?」
返ってくる声は、なかった。
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