Roman - 教え子の面影 -
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懐かしい、夢を見た。それは自分がアルコバレーノになる前の夢。まだ夢を掴んでいたときの夢。

その全てをあっという間にぶち壊したマフィアに恨みがないわけでもない。

だけど…それを救ってくれたのもまた、マフィアだった。

ボンゴレはアルコバレーノの研究をしている。だけどそれは、奴らのように更なる力を求めてではない。


…元の姿に、戻る方法。


まぁ数人、このままでいいと言ってた奴等もいたが。リボーンとしては戻りたかった。

現状維持派の意見も纏め、とりあえず激痛のみ治す方法を探す、で落ち着いたはずだ。


…ひとまず、リボーンは同じアルコバレーノであるヴェルデとコンタクトを取ろうとしていた。

ボンゴレ技術開発部に所属しているヴェルデなら痛みを抑える道具も持ってるかも知れないと、そう思って。


…痛みが熱を帯びて感じる。リボーンは何故だか昔を思い出す。


ボンゴレのヒットマンとなったリボーンはその当時は荒れていた。特に抗争時になると特攻隊長となって先陣を突っ切ったものだ。

その姿を見て、誰かがこう言った。まるで彼の操る武器そのものが生きてるみたいだと。


そんなものはただの驕りだ。とリボーンは笑った。

こんなもの、ただ単に引き金を引いてるだけだと。

そこまで回想して、リボーンの身体に激痛が走る。


彼はただ一人で耐えた。

恋人の顔も忘れて。


…思い出せば、きっと想い人も苦しむからと。


自分に足りないのは恐らく、苦痛を耐える力ではなく呪いに打ち勝とうとする強い意志だな、とリボーンは思った。