Roman - 美しき思い出 -
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綺麗な音だな。


あなたが昔、そう言ってくれたことが嬉しかったと…今でもそれを覚えていると言ったら、あなたはオレを女々しい奴だと言って呆れるでしょうか?

まぁ…それだけオレがあなたを好きなのだと、そういうことでひとつ。


それにしても…―――あなたは一体どこへ行ってしまったのか。


戻ってきたら、リボーンさんは驚くだろうか?

部屋にいきなりグランドピアノだもんな…普通驚くか。いや、でもリボーンさん普通じゃないし…


などと思いつつも、指は変わらず鍵盤の上を滑っている。


ああ、意外と指って覚えてるもんだな。弾ける弾ける。

…リボーンさんがこの曲を弾いてるときに声を掛けてくれたのは…もう随分と前の話だ。