Roman - 美しき思い出 -
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それは冬のことでした。雪が降って。積もりました。
イタリアのスラムで一人でいたときは雪なんて凍え死ぬかどうかの死活問題だったというのに、平和な日本ではいつもと違う靴の下の感触を面白がる余裕すら出来ました。
日本の生活にも大分慣れて。だけど冬の寒さにはやられ気味でした。夏もかなり暑かったですけど冬も凄かった。
オレとあなたの間の会話は本当に少なかった。だけどオレは、あなたと同じ季節を過ごすことが出来ました。
まぁ、正直に言わせて貰うと少し………かなり。物足りなかったですけど。
……ねぇ、リボーンさん。
オレがいつ。あなたを好きになったのか…知っていますか?
周りは誰一人として知らないんですよ。みんなオレがあなたに憧れて、それから恋心が芽生えたのだと思い込んでます。
…違うんですけどね。
逆なんです。
オレは、まずあなたに恋をして…それからあなたの強さを知って。そして尊敬の念を抱きました。
―――オレ、あなたと会ったのは日本が初めてじゃないんですよ。そりゃ、まぁ顔を合わせたのは初めてでしたけど。
…オレ、あなたを見掛けたことがあるんです。
まだオレが、城を出る前に。一度だけ。
そういえば、あなたは一体あの城に何の用だったんでしょうね。機会があれば教えて下さい。
…ともあれ、当時のオレは小さくて。何かある度に泣いてるようなガキだったんですけど。
だけどあの日。小さなオレよりももっと小さなあなたを見掛けて………
ねぇ。笑わないで聞いてくれますか?
実はオレ、あの時あなたに………一目惚れしたんですよ。
無論のこと初恋です。当時オレはアルコバレーノも何も知らなくて。今思えば畏れ多い…いや、今でも充分畏れ多いんですが。
…今度リボーンさんと会ったら、この話をしよう。
あなたはオレの初恋なんですって。
そう、思ってたら隣の部屋の窓が閉まる音がした。
………隣は確か空き部屋だったような気がするのだが…いつの間に人が入ったのだろうか。
つかやばい。うるさかっただろうか?ど、どうしよう…
内心結構あわあわしていると…誰かが部屋に入ってきた。
「獄寺くん」
10代目だった。どこか声が硬く、緊張している声だった。
「リボーンが戻ってきたら、オレに連絡してね。頼んだよ」
リボーンさんが戻ってきたら?
はて。一体何があったのでしょう。
「どうしたんですか?」
オレの問いに、10代目は少し躊躇してから…オレに告げました。
リボーンさんの仲間である、アルコバレーノであるマーモンとヴェルデの死体が発見されたのだと。
二人とも、おしゃぶりは取られていたらしい。
バタン、と隣の部屋のドアが閉まる音がしました。
++++++++++
あの部屋にいたのは誰だろう?
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