Roman - 歓びと哀しみの追憶 -
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悲鳴のような声に、目が覚めた。

そうだ、オレは襲われてるんだった。まぁあっさりと返り討ちだが。

つーか弱すぎるぞこいつら。たぶん今回の騒ぎとは関係のない奴等だな。


…また、声が聞こえる。化け物と。


化け物?それを作ったお前らがそれを言うか。

化け物?嘲笑と侮蔑を混ぜて呼んでいたな?


オレたちはお前らの道具じゃない。

穏やかな暮らしに満足していたのにそこから引きずりだしやがって。


お前ら……よくも。


過去の映像が現在の現状に被って見える。

オレの目の前にいるのは見知らぬ刺客であり、過去の研究員だ。


銃声が響く―――


過去の映像は現在の現状から剥がれて逃げた。

オレの目の前にいたのは見知らぬ刺客でもなければ、過去の研究員でもなく。


それはボンゴレの構成員の一人。

そいつには覚えがあった。かつてのオレの教え子のひとりだった。


感傷は抱かない。


広がる血の赤。


そこに映ったオレの顔に表情はなく。

そこに写ったオレの目に色はなく。

…気付けば、オレの足はまるで時を遡るかのように。真っ直ぐと今まで避けていたあの場所へと向かっていた。


生徒に殺され掛けた教師が向かうそこはかつての教師が死んだ場所。

教え子に手を掛けた教師が向かうそこはかつての教師の原点。


そこは―――かつての名もなき小さな村の跡。


今やそこには面影も見る姿もなく―――

ただ、呆然と空き地が広がるばかりだった。


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そこは墓地。彼の死に場所。