Roman - 黄昏のアルコバレーノ -
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「………、」
『リボーンさん?』
「ああ…獄寺か。なんだ?何か用か?」
『いえ、用って言うか…単にオレがリボーンさんの声を聞きたくてですね?』
「そうか」
『ええ…ですが……リボーンさんどうしたんです?そんな浮かない声を出して』
「そんな声出してたか?」
『ええ。何かお悩み事ですか?』
「オレにだって悩みの一つや二つぐらいある」
『そうですか。オレにはありませんけど』
「…変なこと自慢してんじゃねぇよ」
『ええ。だってオレ、リボーンさんとこうして話をしているだけで幸せですから』
「……………」
『リボーンさん?どうしましたか?』
「お前…怒っているか?」
『いいえ、全然怒ってませんよ?』
「………」
『どうしたんですかリボーンさん。先ほどから黙り込まれて一体どうしたのですか?』
「どうしたってお前…」
『リボーンさんがオレから離れて一体どれだけの時間が経過したと思ってるんです?オレはまだまだ話し足りません』
「…悪かった。そう拗ねるな」
『なんのことでしょう。リボーンさんにも都合と考えがあったことぐらい、知ってますよ?』
「結構、今回の行動は自分でもわけわかんねー点もあるけどな」
『そうなんですか?…まぁ、人間誰しもそんなことしてしまうときだってありますよ』
「―――、」
『どうしましたか?リボーンさん』
「…こんな人間がいるものか。化け物だよ、オレは」
『はぁ?』
「はぁってお前…そんな素っ頓狂な声を出すなよ」
『素っ頓狂な声も出ますよ。何を言ってるんですかリボーンさん。リボーンさんが化け物?一体何の冗談です?』
「…お前こそ何を言っている獄寺隼人。成長しない、長い時間を生きる。姿は赤子。正体は化け物だ」
『ははは…っ確かにリボーンさんの可愛らしい姿や聡明な頭脳は人間離れしているかも知れませんが…化け物?何を仰っているのやら。精々、ちょっと完璧なだけの人間ですよ』
「……………」
『いいですかリボーンさん。化け物っていうのは…そうですね。…10代目みたいな方を言うんですよ!』
「はぁ?」
『あの10代目の神々しさ完璧さ!空だって飛びますしどれをとっても化け物ですね。…ああ、もちろんいい意味でですよ?』
「…オレはお前の中ではツナに負けてるのかよ」
『ええ。その通りです。…オレの前ではリボーンさんだってただの人なんですよ』
「………」
『リボーンさん。あなたは人間です。そんな容易なことにさえ気付けないほど塞ぎこんでいたのですか?』
「………そうだな。少し落ち込んでた。柄にもなくな」
『そんなに辛いことが?』
「人生辛いことばかりだ」
『オレで宜しければ相談に乗りますよ』
「そうか―――…そうだな。…獄寺」
『はい、なんでしょうリボーンさん』
「お前、もしもオレが『死にたい』と言ったらどうする?」
『死にたいんですか?』
「誰にだってそんな気分のときもある」
『そうですか……そうですね。…アルコバレーノであることが、それほどまでに辛いですか?』
「そうだな」
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