Roman - 黄昏のアルコバレーノ -
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『そうですね………リボーンさんが今まで生きてきた中で、後悔しかなかったとしたならば―――…リボーンさんは死んだ方が幸せかも知れません』

「…意外だな」

『そうですか?』

「てっきり何が何でも生きてほしい。とか言ってくるかと思ってたんだが」

『だってリボーンさん。今にも死にそうな声出してるんですもの』

あ?

「…馬鹿かお前。目の次に耳までいかれたか。オレがいつそんな声を出した」

『いや、リボーンさん隠してるつもりだと思うんですけど全然隠せてませんから』


は?


『こう…今にも倒れそうで、死んじゃいそうで…電話越しでなければこう、ぎゅっと思わず抱きしめたいような……そんな声です』

「はぁ…で、そんな声を出してるオレは死んだ方が幸せだと?結構言うな。お前」

『あの、前提条件忘れないで下さいね。リボーンさんが今まで後悔しか感じなかったとするならば、ですからね?』

「後悔ねぇ…」

『ええ。だけれど、リボーンさんあなたが生きてきた中で一度でも幸福を味わったことがあるとするならば……その思い出と共に、オレはあなたと生きたい』

「……………」

『ああ、でもリボーンさん。もしリボーンさんがご自身の結末を死として選んだとしてもご安心下さい』

「ん?」

『オレもすぐに後を追いますから』

「って、おい…お前なに言って…」

『だってオレ、もうリボーンさんなしの人生とか考えられませんから』

「はぁ……お前、オレを脅してるつもりか?」

『脅せるだけの材料になればいいのですが…』

「馬鹿」


……………。

………。


そして電話は切れた。