Roman - 黄昏のアルコバレーノ -
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……………。

獄寺に言われて気付いた。オレがボンゴレから出て、もう一週間も経っている。

獄寺は…寂しそうだったな。やはり一言ぐらい何か告げて行けばよかったかもしれない。いや、そもそもあいつの想いに応えなければよかったのかもしれない。


…あなたが今まで生きてきた中で、後悔しかなかったとしたならば―――…あなたは死んだ方が幸せかも知れません。


こんな身体になってから、後悔ばかりだ。

人を殺し、教え子には先立たれ、愛人を作っても苦しめてしまう。

だけど。


…あなたが生きてきた中で一度でも幸福を味わったことがあるとするならば…その思い出と共に、オレはあなたと生きたい。


幸福、か。

そんなものを味わう資格が、オレにはあったのだろうか。

………仮になかったとしても。オレは味わったことがあるのだが。

オレはその幸福を思い出し―――


こめかみに銃を当てた。


獄寺が追ってくる?

ばれなきゃ平気だ。


引き金を引こうとした―――ところで。

…誰かの足音が、オレの耳に届いた。


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彼の最後を見届けるのは誰か。