Roman - 恋人からの返答 -
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「今度、ボンゴレに新しいファミリーが入る。あの獄寺家の子供だそうだ」


どうして、お前からやってくる。


オレはお前を区切ったのに。

オレはお前から逃げるように日本へ発った。

…だけど。


「本人の希望で、獄寺隼人を日本へ送った。面倒を見てやれ」


どうして、お前から追ってくる。


オレはお前から逃げたのに。

オレはお前に冷たく当った。好意を隠すように。そして決して好意を持たれないように。

けれどお前は。



リボーンさん。



どうしてお前はオレを慕う。

オレはお前と距離を置きたいのに。どうしてお前は寄ってくる。


オレにそんな資格など、ありはしないのに。

そして、オレはお前を苦しませている。


オレのせいで。


…オレは、お前と一緒にいられない。

呪われている以前に、お前の母と姉を殺したオレは。お前と一緒にいられない。

守りたかったお前さえ、苦しませている。


―――もう、許してくれ。


声に出すつもりはなかった。だけれど、


「はい、許します」


答えが返ってきたことで、オレは自分の思いが表に出ていたことを知る。


「ば…お前、オレの言ったこと聞いてなかったのか!?オレは…!」

「あなたはオレの母と、姉貴を愛してくれたんですね?」

「………、」


「なら、オレも愛してほしいんですけど?」

「…何故、そんなことが言える。お前はオレが憎くないのか」

「オレと違って冷たくされてなかったらしい母と姉貴なら多少憎い気もします」

「だから!!」


くすくすと獄寺は笑みをこぼす。そこにはなんの邪気も見受けられない。


「それじゃあ、リボーンさん。今度オレと一緒に母と姉貴の墓参りに行きましょう。それで全部チャラです」

「チャラって…お前な……」

「オレは本気ですよ?…でも、リボーンさんかなりお疲れのご様子ですし…ひとまず眠られてはいかがですか?」


寝る……?


そう言われて、途端に睡魔に襲われる。そういえばおしゃぶりを取られてからあまり眠ってなかった。激痛のあまりに。

……?そういえば今は痛みを感じないな。どうしてだ?

オレを抱く獄寺を見上げれば、にこやかに笑っている。安心出来る笑みだった。


「はぁ…じゃあ一度寝る。そんで起きたら、また話をするぞ」

「ええ。楽しみにしてます」

「あまり楽しい話じゃないと思うが…まぁいい。寝る」

「はい。おやすみなさい、リボーンさん」


「ああ。……………獄寺」

「はい?」


「…悪かったな」