Roman - 最後の生と死の物語 -
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リボーンは自身のこめかみに銃を宛がう。
もう、終わらせよう。全てを。
朝を見る日はもう来ない。
夜を過ごす日も見納めだ。
…もっと早くこうしておけばよかったと、今更ながらに思う。
それは逃避だと知ってはいたけど。無意味な行為なのだと解ってはいるのだけれど。
だけどもう、これ以上は生きるのが辛い。
生きていても、周りに迷惑を掛けるだけで。
生きていても、苦しいだけで。
そもそも、自分は既に死んでいたのだ。
今ここにいるのは心の壊れた小さな人形。
今ここにいるのは魂の抜けた男の亡骸。
そう、あの日。遠い昔。…この場所がまだ村だった頃に。その村が襲われた日に自分は死んだんだ。
本当に死ねばよかった。
自分は選択を誤った。
逃げようとはせず、放たれる炎に身を焼かれるべきだった。
狩られる教え子たちを放置して……
…ああ、駄目だ。
そこまで思って、リボーンは頭を振る。
自分が、生徒たちを守ろうとしないわけがない。
自分はあの時、ここで教師をしていたのだから。
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