Roman - 最後の生と死の物語 -
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振り向くも、誰もいない。
誰もいないのに………
どこからか、声が。
せんせい。
聞き覚えのある、声が。
せんせい。
知っている、声が。
―――――せんせい。
腕が。
無数の腕が。
気付けば辺りに。そして伸びてくる。
それは華奢な、子供の腕。
腕はまるでリボーンに縋るように頼りなくリボーンを捕まえる。
リボーンは腕を振り解けない。
この腕の細さは知っている。この腕の小ささは。
きっと、この村で……帰ってこない教師を待ち続けて…死んでいった子供たちの―――
そしてふと気付けば、彼を縛る腕の向こうから影一つ。
それはボンゴレにいるはずの、獄寺隼人。
獄寺は穏やかな表情を浮かべ、リボーンに近付く。
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