大きな桜の木の下で
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「………きゅ?」


揺られてか、それとも夜風に当たってかハヤトが目を覚ます。


「起こしたか?」

「リボーンさん…いつもすみません……もうお家ですか…?」

「いや。ここは公園だ」

「公園…?」


ハヤトの頭上に三つほどクエスチョンマークが浮かぶ。時刻は夜。というか深夜。そんな時間に何故に公園?


「…ほら、ハヤト」

「きゅ?」


リボーンが何かを促した。それを見たハヤトは、言葉を失った。

そこには、満開に咲く桜。それが外灯に照らされて幻想的な風景を醸しだしていた。


「す…凄いです!凄いですよリボーンさん!!とても綺麗な桜さんなんです!!」

「そうだな」

「これを見るために車から降りたんですか?」

「そうだ」

「きゅー…リボーンさん、意外にロマンチックです!!」

「お前な…オレを一体なんだと思ってんだ?」

「きゅ!ご、ごめんなさい…」

「…ま、あながち間違いでもないけどな。いつもならとっとと帰ってただろうし」

「きゅ?では…なぜ?」

「お前、花見がしたかったんだろ?」

「きゅ!?」


ハヤトが赤面した。

確かに今朝の撮影の時、桜の木の下に立った時…お花見がしたいな、と思った。

最近プライベートの時間が取れないから、たまにはリボーンさんと二人っきりで…デートがしたいな、と。


「昼は時間が取れないが…まぁ、この時間なら、短いがデートも出来るなと思ってな」

「きゅー!?」


更にハヤトが赤面した。

そしてその昔、リボーンは読心術が使えるから気を付けた方がいいと言っていたツナの言葉が思い出された。


「リボーンさん…リボーンさんは本当に読心術が使える方だったのですね!!」

「ん?何の話だ?」

「き、きゅー…なんでもないです…」


そして、ハヤトはハッと気付いた。

今の自分の状況に。

今、自分はリボーンにおんぶをされている。


(これではデートというよりも…なんだかパパさんと娘さんではないですか!!)