大きな桜の木の下で
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「きゅー!!リボーンさん!!」
「ん?」
「ハヤト、おんぶは嫌です!!」
「嫌か?」
「きゅー!だってデートなんですよ!?」
恋に恋しリボーンを愛するハヤトは出来ればおんぶは遠慮したかった。
デートなのだから。久方振りのデートなのだからやはり恋人時代を思い出し手繋ぎだとか腕組みだとかあと………
「…きゅ……」
そこまで考えてハヤトは赤面して思考を中断した。いやいや。それは流石に恥ずかしい気が。いや、出来ればしてもらいたいけれども!!
「…そうだな。確かにこれだとあまりムードもないか」
と、ハヤトの気持ちを知ってか知らずかリボーンはハヤトを近くのベンチに降ろした。そして。
「き…きゅ…!!」
リボーンはハヤトの背と膝裏に手を回し。
そしてハヤトの腰を浮かせた。
その状態は俗にいうお姫さま抱っこという奴だった。そしてこれこそ、ハヤトが照れて思考を中断しつつもリボーンにしてほしいと思っていたものだったりもする。
嬉しい―――と思いつつもやっぱり恥ずかしいという気持ちがあったりなんかして。
「リボーンさん!これは少し恥ずかしいような!!」
「どうせ誰も見てない。それにお前疲れてるだろ?こっちの方が合理的だ」
「ですが…」
「…それに、お前だってこうされたかったんじゃないのか?」
「きゅ!!」
何故それを!?といった顔で見返せば、リボーンはクックと笑った。
「他の誰でもない、お前のことだ。分からないはずがないだろ」
「リボーンさん……」
当たり前のようにそう言われてハヤトの胸がときめく。
今日のデートも、今のお姫さま抱っこも。そして出会ってから今日までも。本当にリボーンは自分のために出来ることを思いやりをもってしてくれる。
それがとても嬉しくて。ハヤトはますますリボーンのことが好きになる。
「…リボーンさんは、ハヤトのことなんでも分かっちゃうんですね」
「そうだな」
「…じゃあ、今ハヤトが何をしてほしいのかも…分かりますか?」
「ん?………そうだな、オレの自惚れじゃないなら…こうか?」
キスしてほしい。
ハヤトはそう思った。
そして、その願いの通りにリボーンの唇が降ってきた。
時刻は深夜。
誰もいない公園。
満開の桜の木の下で。
二人のデートはまだ始まったばかり。
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あなたがいるから、わたしは幸せ。
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