寒空の下で
2ページ/全4ページ
外は煌びやかで、そして華やかだった。
遠くから近くから聞こえてくるクリスマスソング。店には必ずといっていいほどサンタを模したものが並んでいた。
街を歩く人々の顔はみんな幸せそうに笑っていて。
たとえばそれは、子供連れの親子。
サンタさんにお願いするプレゼント。書いた手紙は届いたかな?ええ、きっと。
楽しそうに、笑ってる。
たとえばそれは、手を繋いだ恋人たち。
周りの雰囲気がそうさせるのか、それとも寒さを言い訳にしてかぴったりとくっついて。ねぇ 次はどこへ行こうか。
幸せそうに、笑ってる。
…なら、自分たちは?
どう贔屓目に見ても親子には見られないだろうけれど、でも絶対恋人同士にも見えなくて。
獄寺はリボーンを抱き締めたまま歩く。二人は会話をしないまま黙ったままに街中を進んで。
そして街の中心地にある巨大なクリスマスツリーの前まで二人はやってくる。そしてそれを見上げて。
「綺麗ですね」
「そうだな」
二人は黙ってそれを見ていて。…ただじっとしながら見ていて。
暫くそうしていると、突然冷たい突風が吹き荒れて。周りの人々は寒さに震える。
「んん…」
獄寺もその例外ではなくて。思わず漏れてしまった吐息に少し恥ずかしそうに頬を染めて。
「…帰りましょうか。冷えてきましたし」
「ああ」
言って二人は帰路へと着く。周りの店には見向きもしないまま。
…いや、一つだけ獄寺が目を向けたものがあった。それは信号待ちのときにだけだけど。
けれどそれにもすぐに目を逸らして。信号が青になって。獄寺は再び歩き出す。
けれど。
次
前
戻