寒空の下で
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外は煌びやかで、そして華やかだった。

遠くから近くから聞こえてくるクリスマスソング。店には必ずといっていいほどサンタを模したものが並んでいた。

街を歩く人々の顔はみんな幸せそうに笑っていて。


たとえばそれは、子供連れの親子。


サンタさんにお願いするプレゼント。書いた手紙は届いたかな?ええ、きっと。

楽しそうに、笑ってる。


たとえばそれは、手を繋いだ恋人たち。


周りの雰囲気がそうさせるのか、それとも寒さを言い訳にしてかぴったりとくっついて。ねぇ 次はどこへ行こうか。

幸せそうに、笑ってる。


…なら、自分たちは?


どう贔屓目に見ても親子には見られないだろうけれど、でも絶対恋人同士にも見えなくて。

獄寺はリボーンを抱き締めたまま歩く。二人は会話をしないまま黙ったままに街中を進んで。

そして街の中心地にある巨大なクリスマスツリーの前まで二人はやってくる。そしてそれを見上げて。


「綺麗ですね」

「そうだな」


二人は黙ってそれを見ていて。…ただじっとしながら見ていて。

暫くそうしていると、突然冷たい突風が吹き荒れて。周りの人々は寒さに震える。


「ん…」


獄寺もその例外ではなくて。思わず漏れてしまった吐息に少し恥ずかしそうに頬を染めて。


「…帰りましょうか。冷えてきましたし」

「ああ」


言って二人は帰路へと着く。周りの店には見向きもしないまま。

…いや、一つだけ獄寺が目を向けたものがあった。それは信号待ちのときにだけだけど。

けれどそれにもすぐに目を逸らして。信号が青になって。獄寺は再び歩き出す。


けれど。