寒空の下で
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「獄寺」
リボーンの短い声に、獄寺は足を止めた。
「はい?」
「あの店に寄れ」
「…え」
その店は、まさに獄寺が見ていた店で。
「どうした?」
「い、いえ…」
リボーンに言われたなら行かないわけにもいかず。獄寺はその店へと向かった。
店に着くとリボーンは獄寺から飛び降りて、迷いもせずにある一つの商品を取る。もしかしなくてもそれは先程一瞬獄寺が見ていたもので。
「店主。これを包め」
アンティークショップで買い物をする赤ん坊。物凄い光景だ。
店主は予期せぬ来客に多少困惑気味だったが、獄寺の姿を見て兄か何かと買い物なのだろうと思ったらしい。商品を袋につめる。
…流石にカード払いする赤ん坊には驚いたようだったけど。
「ほら」
素っ気無くついさっき買ったばかりの品…指輪をリボーンは獄寺に渡す。
「あはは、ありがとうございますリボーンさん。…でもオレほんの一瞬しか見てないつもりだったんですけど、よく分かりましたね」
「別にお前を見ていなくとも、お前が好みそうな物ぐらい分かる」
「え…あ、」
さらりとそう言うリボーンに獄寺は二の句が告げなくなって。顔に熱が集まってしまう。
ああ、もう。この人がこういう人だって分かっているはずなのに。なのにいつもこうして翻弄されて。
「開けないのか?」
包みを手渡されたまま解こうとしない獄寺にリボーンが訪ねる。獄寺は苦笑しながら。
「オレ、貴方とツリーを見れるだけで充分だったんですけど」
「お前はな」
「あ…そうですね。リボーンさんを寒い中連れ回しちゃって…すいません」
お詫びにオレも何か贈りますよ。何がいいですか?なんて…そう聞いてくる獄寺にリボーンはため息一つ。
「お前は…まぁ、いい」
じゃあこれを貰っとく。なんて言ってリボーンは獄寺をグイッと引き寄せて…
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