先端恐怖症
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そして…それから三日後。

リボーンの病室(入院したらしい)の前に、獄寺がやや緊張した面持ちで立っていた。

無論リボーンのお見舞いにだった。

しかし…嫌われていたらどうしようという思いがなかなか獄寺をそこから先に進ませてくれない。

けれど、と獄寺はどうにか自分を奮い立たせる。ここでただ立ってるだけでは何も始まらないのだと。

意を決して、獄寺は扉をノックした。


「………誰だ」


酷く、小さな…頼りない、声が聞こえた。

それがあの天下無敵のリボーンの声だと、誰が分かろう。

獄寺でさえ、「あれ?もしかしてオレ病室間違えた?」と思ってしまったぐらいだ。

しかし扉の横に貼られたプレートにある名前は「リボーン」ただ一つ。

それを三度ほど確認して獄寺はようやく室内の声の主がリボーン本人なのだと分かった。

ちなみにリボーンは問い掛けを無視されて少ししょげていた。


「あ…あの、獄寺ですっ」

「…獄寺?」

「は、はい…」

「……………」


無言が怖かった。


「…何をしに…来たんだ?」

「ええと、その…お見舞いに」

「……………」


無言が怖かった。

獄寺は泣きたくなってきた。


「…お前は…」

「は、はい?」

「お前はまたオレに…キスをするのか?」

「ええと…」


微妙な質問が飛び出てきた。

もしかしてリボーンにとってキスは注射の痛みとなってしまったのだろうか?

ならば返答は………


「………しません!!」

「してくれないのか!?」

「じゃあします!!」

「するのか!?」

「リボーンさんはオレに一体どうしてほしいんですか!?」


どうやらこの場に混乱しているのは獄寺だけではないようだった。

リボーンはリボーンでいっぱいいっぱいみたいだった。


その後、貧血から何とか立ち直ったものの注射のショックからか暫く動けなくなったリボーンを胸元に抱きかかえて移動する獄寺が目撃されたとかなんとか。


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り、リボーンさん、だ、大丈夫ですからね?ね?