幸せな夢
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「…どうして笑っているのさ」

「…すいません。つい、」


10代目のお言葉を笑みで返すだなんて無礼にも程があると自分でも思うけど、でも仕方ない。


「……10代目。ひとつだけ訂正です。…何度も言ってますけど、オレとリボーンさんは恋人ではありません。愛人です」

「それでも…好き合ってたんでしょ?」

「そうですね。それなりに。…でも、その想いも所詮は"愛人"止まりなんですよ」


だから殺せます。

…殺せるんです。


「…それに多分、オレが一番リボーンさんを殺すのに適していますよ」

「……?」

「オレ、リボーンさんのこと結構知ってるんです」

「それなら、オレだって…」

「ではお聞きしますが10代目。知っていましたか?リボーンさん、一つ前の任務で右脇腹に深い傷を負ってるんですよ」

「…え?」

「それからその前の任務では右腕。…左足も傷を負ってましたね。リボーンさん、見た目通りに格好付けたがりですから怪我してもいつも隠しておくんです。オレはいつもはらはらしてました」

「………」


…それに、何よりも。

ボンゴレの裏の歴史をよしとしないあなたが。

ボンゴレの禁忌を嫌うあなたが。


いくら敵に回ったとはいえ、リボーンさんを殺せるんですか?


そうは思ったけど、口には出さず。

そしてそこで、なんだか全てが台無しになるような笑い声が響いた。

骸だった。