幸せな夢
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そこは、思い出の場所だった。

オレがそこまで行くと、リボーンさんはもう来ていた。


「遅かったな」


リボーンさんの声には抑揚がなかった。


「ええ。みんなを説得するのに時間が掛かって」


オレの声にも抑揚がなかった。


「だろうな。死にに行くのに止めないメンバーはあの中では骸と雲雀ぐらいなもんだろう」

「オレは死にに来たわけではありませんよ」

「じゃあ何だ。命乞いか?まあツナがお前にそう命じたならお前はやるだろうな。オレは聞かないが」

「違います。―――あなたを、殺しに来ました」

「言うだけならツナでも出来るな」

「…先ほどから随分と10代目を貶めるような発言をなさいますけど…挑発ですか?」

「この程度、挑発と言えるか。お前から呼び付けておいてお前が遅れたものだから少し当たっただけだ」


言われて、オレは思い出す。そういえばリボーンさんをこの場所へと呼んだのは他でもない自分自身だったと。

…それは、10代目がボンゴレに反旗を翻す少し前。

オレはリボーンさんの自室にカードを置いていた。リボーンさんと二人っきりで過ごしたくて、こう書いた。


"いつかの、あの場所で"


リボーンさんなら解ってくれると思った。実際解ってくれて、リボーンさんはこの場所にいた。

けれど、まさかそれが。こんな形になるなんて。

本来ならばここにはもっと淡く甘い空気が広まっていたはずだ。そして再会したオレたちは互いにやわらかく微笑みあって、キスとかして―――…

…間違っても、お互いに殺気を出し合うようなこんな事態にはならなかったはずで。


けど。

なってしまった。