幸せな夢
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「…ごめんなさい」


オレは遅れたことに謝罪しつつ、懐から銃を取り出して…リボーンさんに向ける。


「お前は銃は使わないんじゃなかったのか?」

「そんなオレに銃を教えたのは誰でしたか?」


オレは銃は使わない主義だったけど、それをリボーンさんが変えてくれた。

形だけでも覚えておけと、使わないのと使えないのとは全然違うからと指導してくれたのはリボーンさんでした。


だけれど、その数年後。


まさか銃の大切さを教えてくれたリボーンさんを撃つ羽目になるだなんて。

あのときのオレたちには想像も付きませんでしたね。

気付けば、リボーンさんも銃を抜いていました。それをオレに向けていました。


―――先に撃ったのは、どっちだったか。


あなたの撃った弾丸がオレの頬を掠りました。

オレの撃った弾丸があなたの腕を掠りました。


血潮が飛びました。


不思議と、痛みはありませんでした。

世界の鮮やかさが消えていきました。


そのくせ、血の赤さだけは嫌に鮮明で。


世界はモノクロ。動いているのはあの人。飛び散っているのは赤い紅。

オレもリボーンさんの動きに合わせて動きました。あの人の呼吸は読めます。


―――ここは愛するものが生涯を共にすると誓う場所。


いつもならば神聖な光と。静かな雰囲気が満ちている空間。

けれど、それも今は………


オレはタイミングを合わせて引き金を引きました。

あの人は避けて、代わりにあの人の特等席だった場所が脆くも崩れました。

…かわされた。まあそう簡単にあの人に当たるわけがない。

思わず舌打ちが出る。

撃ちたかった。

…殺したかったのに。

けれどそう簡単にいくわけがない。そんなことはよく知っている。


リボーンさんの銃口がオレを向いている。リボーンさんの指が引き金を引いて、オレへと向けて弾が発射される。


オレはとっさに避ける。少し遅れて背後からガラスが割れる音がした。頭の片隅で思い出す。

あれはいつだったか、リボーンさんがオレに似ていると笑っていたステンドグラス。

リボーンさんの舌打ちが聞こえた。

あの人が撃ちたかったのはステンドグラスなどではない。

あの人が撃ちたかったのは、オレ。

あの人が殺したかったのは、このオレだ。


オレたちはこの小さな教会の中で殺し合う。

手加減なんて一切なく。

敵として。


無感情に。

無感傷に。


その昔、オレたちが本当に愛し合ったことなんてなかったことにして。