幸せな夢
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腹部に違和感。
…腹が、熱い。
「あ……?」
力が抜けて、オレはリボーンさんの上に倒れた。腹に何か突起物が当たる。
それはリボーンさんの手にしていた銃だった。
撃たれた。
そう気付くと同時、腹から血が抜けているのだと解って。途端に寒くなった。まるで血と共に体温も抜けているかのように。
「……生きて…らしたんですか…」
ああ、騙されました。最後の最後で。
………油断した。本当に。
心臓を撃ったつもりだったのに。標準がずれたか。
「…気を失ってただけだ。けど、お前のキスで目が覚めた」
リボーンさんのその言葉に、こんな状況であるにも関わらず思わず吹き出してしまった。そして喉の奥から血が込み上げて。咳き込んだ。
「…何がおかしい」
「だって、キスで目が覚めるだなんて、あはは…っまるで御伽噺のお姫様じゃないですか」
リボーンさんの柄じゃない。キャラが違いすぎる。おかしすぎて…ああ、笑ってしまう。
「…いつもの癖だ」
「は…?」
「オレは何故かお前の傍だといつもぐっすり寝れるんだ。けど、流石にキスされると目が覚める」
「―――へ?」
オレは思わず固まった。
ちょっと……ちょっとでいいんで待って下さい?
それはつまり…どういうことですか?
まさかリボーンさん、オレがリボーンさん寝ていると思って、こっそりキスしているときとか……
「全部、気付いていたぞ」
ちょ…!
待って下さい待って下さいまだ待って下さい?
待って下さいよリボーンさん。もう少し待って下さいよ!
「な…んで教えてくれなかったんですか!」
「教えたらお前、キスしなくなるだろう」
「当たり前じゃないですか!!」
「なら黙ってるさ」
「………」
血の気が引いてる顔が、真っ赤になるのが解った。
全然気付かなかった…。
はぁ……
どっと、肩の力が抜けた。
「もう…最悪です。みんなにはあなたの生首を土産に帰るって言ってるんですよ?」
「オレだってボンゴレにお前らの首と指輪を回収してくるって言ってきた。なのにこのざまだ」
「…ふふ、驚いたでしょう?薬って結構偉大ですね」
「ああ。お前がここまでの馬鹿だとは思ってなかった」
「ひど…」
「何が酷いものか。お前。傷はとっくに致死量に達してるぞ」
げ…っ
「…マジですか」
「大マジだこの馬鹿たれが。なのにお前生きて帰れると思ってただろ。この大馬鹿が」
「う…」
そう言われると二の句が告げない。確かに、まぁ、自分が危険な状態であるだろうとは…思ってはいたけど。
つか、ああ、だからリボーンさんオレが特攻したとき少し驚いてる顔してたんですね…なんだそっちか……
「まったく、お前一人と相打ちなんてとんだ大損だ。オレも底が知れたな。落ちたもんだ」
「…そこまで言われるとオレもへこむんですけど……でも、ああ、すいません10代目…リボーンさん一人倒してオレは終わりのようです……ボンゴレ潰すつもりだったのに…!」
「大胆発言だな」
「それが10代目のお望みでしたから」
「あいつはお前が死ぬのなんて望んでなかっただろうよ」
む…リボーンさんが意地悪です……
「…そんな顔をするな」
そう言って、リボーンさんはオレの頭を撫でました。
……どうしてこんなときにリボーンさんはお優しいのでしょう?
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