幸せな夢
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「もう、今オレとあなたは敵同士ですよ?」

「知るもんか。どうせこの傷じゃ助からん。なら死ぬまでの間、好きにさせてもらうさ」


その好きにすることがオレの頭を撫でることってのはどうなんでしょうね。

……でも…ああ、


「リボーンさんの手……気持ちいいですね…」


―――ああ、どうしてこんなことになってるんだろう?

ついさっきまで、オレたちは銃を向け合って、撃ち合って。殺し合ってたはずなのに。

なのに今は、お互いに笑っている。

まるで夢のよう。

………というか、


「―――――………のに」

「…ん?」


それは、思っても仕方のないこと。


「これ全部…夢だったらよかったのに」

「………」


それは、何の意味も持たないIFだけれど。


「オレは夢を見ていて…目が覚めたらそこはボンゴレで、ボンゴレには10代目の嫌う歴史なんてなくて、そしてオレの隣にはあなたがいる…」


もしそうだったら、どんなによかったことか。

もしそうだったら、どれだけ幸せだったことか。


……ああ、寒い。薬が切れてきたのかそれとも薬の副作用か、それとも死が近くなったのかなんだか急に冷えてきた。

だんだんと、目蓋が重くなってくる。


リボーンさんの声がさっきから聞こえないな、と思ったらリボーンさんはまた目を瞑っていました。

オレの頭を撫でていた手の動きも止まっていて…一足早く昇天してしまったのでしょうか?

と思っていたら、


「…そうだな」


リボーンさんの口から、声が。


「オレも…これが夢だったらって。そう思う」


………。

ああ、

あなたも、同じ気持ちなんですね。

…嬉しいです、リボーンさん。


「だいすきです、リボーンさん……」


思わず口から漏れた一声。

それにリボーンさんが何か応える気配を感じたけど、残念ながらオレの意識はそこで落ちてしまった。