幸せな夢
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「リボーンさん」

「獄寺か」


仕事をしていたら、リボーンさんが帰ってきました。


「別に、寝てても構わなかったぞ」

「…オレが起きたくて起きてて、待ちたくて待ってたんです。それに…」

「それに、なんだ?」

「まだ仕事が終わってなくて…片付けてたらこんな時間になってたんです」

「どうせツナの尻拭いだろ」

「10代目は多忙な方ですから。それのお手伝いをしただけですよ」

「そうか」

「ええ。…あ、リボーンさん。怪我してるじゃないですか」


黒のスーツに隠れて解り辛いけど、出血のあとが見えた。…まったく。


「もう、あなたって人はどうして自分のこととなるとこんなにも無頓着なんですかっ」

「…その台詞、お前にだけは言われたくないぞ」

「そ、そうですか?」


心外です。


「そうだ。お前こそツナの為とか言いながらしょっちゅう怪我してるくせに」

「ああ、それですか。ええ、オレの血肉が10代目のためになるのならば、それは喜ばしいことですから」

「ああ。オレも自分の働きがそのままボンゴレのためになるってんならやり甲斐がある。それに…」

「それに…?なんです?」

「怪我して帰っても、お前が手当てしてくれるからな」

「そうですね。お任せ下さい。オレも10代目のために働けてリボーンさんを迎えれて。そしてリボーンさんのサポートも出来るならば嬉しいです」

「そうか」

「はい」


そう言ってオレたちは目を合わせて、淡く微笑み合う。


「行きましょうか」

「なんだ。仕事はいいのか?」

「一区切り付きましたので。それともリボーンさんはこれから報告へと向かいますか?」

「面倒だ。夜が明けてからでいい」

「嘘でも『お前と長く一緒にいたいから後回しだ』と言っては下さいませんか?」

「お前と長く一緒にいたいから後回しだ。お前こそ『仕事よりもあなたの方が大事です』とは言ってくれないのか?」

「仕事よりもリボーンさんの方が大事です。………って、リボーンさん意外に傷口深いですよこれ。一体何をやらかしてきたんですか!!」

「まず弾丸の雨の中を突っ切ってだな…」

「死にますよ!?」

「大丈夫だ。急所は避けてるからな。現にこうして生きてる」

「それは結果論です、もう…あまり、心配させないで下さい……」

「…そうだな、すまない。悪かった。せっかく今度の休暇が重なったってのにな」

「そういう意味で言ったつもりはなかったのですが…そういえばそうですね。じゃあ休日はリボーンさんのお部屋でゆっくりしましょう」

「身体が鈍る。怪我してても出歩くぐらい出来るぞ」

「出歩くって……一体どちらへ?」

「オレの行きつけがある。そこまで行くぞ」

「…?分かりました。じゃあそのときを楽しみにしてますね」


まぁ、まずは傷の手当ですけど。とオレはリボーンを医務室まで引き摺って行きました。


「…オレは眠いんだが」

「駄目ですって!もう、どうしてあなたはこういうことに関してはズボラ大雑把でなんですか!!」

「眠い…」

「寝ないで下さいリボーンさーん!!」


オレの言葉などにはまったく耳を貸さず、リボーンさんは目蓋を閉じてオレに寄り掛かってくる。


「………もう、リボーンさん…」


いつも通りに傍若無人なリボーンさん。

けれどオレは知っている。これがリボーンさんの甘え方なのだと。

オレは包帯を巻いたばかりの部位を触らないようにしながら、リボーンさんを緩く抱きしめた。

…ああ、リボーンさん大好きです。

愛してます。