幸せな夢
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それから暫くして、10代目に電話が掛かってきました。相手はきっとボンゴレの人間……いいえ、10代目の口調からリボーンさんでしょう。
最後の説得と言ったところでしょうか。リボーンさんの意向なのかボンゴレの意向なのかは不明ですが酷く優しく甘いことです。
無意味なのに。
誰も意思など変えないのに。
忌々しげに10代目は電話を切りました。交渉決裂といったところでしょうか。
「リボーンがオレたちを殺しに来るってさ。謝ってももう駄目。謝るつもりは毛頭ないけどさ」
「…リボーンさんわざわざ宣言して来たんですか?」
あの人も変なところでヒットマンらしくありませんよね…
………。
「10代目」
「何?」
「リボーンさんは…オレに任せては下さいませんか?」
「獄寺くん?」
「リボーンさんは10代目も身を持って知っての通りにお強い方です。こちらから先手を掛けないと……あっという間に全滅しますよ?」
リボーンさんはすると言ったら実行する人だ。
リボーンさんがオレたちを殺すと言ったのなら、本当に殺すつもりだろう。
あんなに手を掛けて指導していた10代目も。殺し屋の素質があると褒めていた山本も。面白い奴と言って笑っていた雲雀も。
あの人は殺す。
10年間手塩を掛けて育ててきた教え子たちの大切さも、ボンゴレへの忠誠心には敵わないから。
だからそれよりも前に。
オレが殺す。
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