シンデレラ
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そうして、オレの元にはいつも通りの日常が戻ってきた。
ほとんどの時間を家事で過ごす日常が。
あの日とあまりにも違いすぎて。あの日だけ夢なんじゃないかとすら思えてくる。
魔法使いが家に押しかけて。(そういえば魔法使い名乗ってる割には魔法使わなかったな…帰りも徒歩だったし)舞踏会に行かせてくれて。
そしてあの建物の主と名乗る人間に会って。………庇われて。
………。
会いたい、な……
しかしそう願っても会えるはずもない。
あの主だってオレのことなどもう覚えてないだろう。
オレだけが覚えていよう。
オレだけが……
「ちょっと。シンデレラ」
「…チッあんだよ今いいところなんだぞ。ここでめでたしめでたしって締まるところでだな…」
「何意味不明なこと言ってんのよ。それよりもこれ。まさかあんたじゃないわよね?」
そう言って女がオレに突き出してきたのは…新聞のある記事だった。内容は…
「…X月XX日深夜零時頃、ボンゴレファミリーアジト裏でドン・ボンゴレ10代目が襲撃される事件があった。同時刻頃、アジトから町へ向かって走っている銀髪の少年の姿が目撃されている……」
………。
それ、オレです。orz
「まだ続きがあるわよ。…10代目は少年と襲撃は無関係だと主張。しかし少年は何故か10代目の私物であるスーツを着用していた。何かしら関係があるだろうとボンゴレ内では噂になっている……」
……………。
あの服、あのにーさんの物だったんすか!?
あの自称魔法使いなんつーもんをオレに寄越してんだ!!!
「銀髪の少年なんて書かれてるけど…これあんたじゃないんでしょ?ってあれ?シンデレラ?」
オレを呼ぶ女の声を背に…オレは昨日も訪れたボンゴレへと向かって行った。
…ううう、嫌だなぁ…
だけどオレのせいで騒ぎになってるらしいし…スーツ傷物にしたし…
弁償…出来る金もあるわけがないし。落とし前も付けなきゃだろうし。
………臓器いくつ売ったら足りるかな………
…ガクガク。
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