シンデレラ
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オレがアジト近くまで行くと、昨日の主…ボンゴレ10代目がそこにいた。
「あ。よかった来た。また会えたね」
「ど、どうも…」
「新聞見て来たの?…ごめんね。キミは無関係なのに……なんだか騒ぎが全然収まらなくて、あのままだと町狩りしてでもキミを探してたよ」
オレ意外に危ない立場でしたー!?
「って、土下座!?何どうしたの!?」
「す、すいませんでした!!!」
「いや無関係の人間を巻き込んだオレが謝る立場にあるんだけど…」
「い、いえ……あの、スーツの方…」
「スーツ?…ああ、」
「その、オレ…あなたの服を傷付けてしまって……」
「いや、あれはオレを手当てしてくれてのことだし…気にしてないけど」
「10代目…!!!」
パァア、とオレは顔が明るくなるのがわかった。
な、なんていい人なんだ…!!!
「でもなんでキミはオレの服なんて着てたの?」
ギクリ。
「そ、その…それは…」
「ん?怒らないから言ってみて?オレの部屋に盗みに入ったって言うのなら怒るよりも前に尊敬するし」
「そ、そんな盗みになんて…!!」
「じゃあどうして?」
「……………」
「ん?」
「その……」
「うん」
「………魔法使いに…貰いました…」
「………」
「………」
「………」
「え?キミ薬中?」
「違います!そんな金家にはありません!!」
「いやぁびっくり。何にびっくりって嘘言ってる気配がしないんだもん。え?それとも季節外れのサンタクロースにでも貰ったの?」
あの人はサンタってイメージじゃないだろう……
…ああ、でもあの人には赤は似合う気がする。なんとなく。
「…魔法使いを名乗る人に家に押し入られて……オレが留守番しといてやるから舞踏会に行って来いって……スーツはそのときに貸して頂きました…」
「何だそのオレ様。ていうかそれ不法侵入だよ!?」
ですよねー。
「………というわけだったんですすいませんでした。じゃあオレはこれで…」
すちゃっと片手を上げて踵を返すオレに…
「待った」
10代目に肩を掴まれた。
ひぃ!?
やっぱり弁償ですか!?
臓器売買ですか!?
家にまで迷惑がいったらごめんなさいー!!!
「ご…ごごごごごめんなさいごめんなさい家は関係ないんですオレだけの責任なんです指詰めでも身売りでも何でもしますから親には言わないで下さい…!!!」
「いやいやいやいや!!違うよ!!そういう話じゃないよ!!」
「で…では……その…どういう……」
「キミ、ボンゴレに来ない?」
「は……?」
オレは耳を疑った。
こんなオレが…こんな大きな建物に?
しかもボンゴレ10代目直々に誘いが?
「………はっさ、サンドバック相当ですか!?ストレスが溜まったときとかに殴る用にでですか!?」
「違うよ!!とりあえずキミはその自虐的思考をどうにかしなさい!!」
「…今まで使ってたサンドバックが壊れたんですね分かります。オレはその代わりなんですね分かります」
「聞けよ人の話を聞けよ!!」
「ヒ! す、すいません!!」
「……オレが言ってるのは、キミに仲間に…オレたちのファミリーになってほしいって。意味だよ」
「ファミリー…?」
オレが…この人たちの仲間に…家族に……?
「なんで…オレなんかを……昨日一度会っただけじゃないですか」
「一目見れば充分だよ。オレにはその力がある。…オレの直感が告げている。キミはボンゴレに必要な人間だ」
「……………」
目の前に差し出された手のひら。
オレは………
………。
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