白雪姫
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「くすくす。この私特性毒入りリンゴを食べればどんな種族であろうと……って、あそこにいるのは隼人!?」


行動派のビアンキはすぐさま毒リンゴとローブを用意し森の奥へと入った。

そしてそこでは、普通に獄寺が歩いていた。


「隼人…隼人なのね!!」

「は…?って、姉貴!?」


獄寺が久し振りに捕らえた姉の姿。

その途端姉から受けた愛を思い出し(特に料理とか料理とか料理とか)思わずその場に倒れてしまった。


「…獄寺?おい、獄寺!?」


慌てて近寄るリボーン。そしてその他アルコバレーノ。


「………多勢に無勢ね。ここは一端引かせてもらうわ」


ビアンキはそう言うと立ち去った。残されたのはアルコバレーノと、気絶した獄寺隼人約一名。


「…まったく、この子が来てから騒ぎが絶えないね」

「よく言うぜコラ。いつもは毎日退屈で刺激がほしいとか言ってるくせによ」

「獄寺、獄寺!!」


みんなが騒ぐ中、リボーンは獄寺の身体を揺すったり名前を呼んだりしていました。

けれど獄寺が目覚める気配はありません。

それどころか、呼吸すらしてません。

久々の姉との対面で、ショックのあまりに心臓麻痺を起こしてしまったのでしょうか?


「…獄寺…」


リボーンはしょんぼりと肩を落としました。それでも獄寺は起き上がることはありません。

ずっとここにいたいと言っていた獄寺。

せめてその願いだけでも叶えようと、みんなでお墓を作ることにしました。

棺の中に入れられ、その隙間を綺麗な花々で埋めていきます。

獄寺は、棺の中でまるで眠っているようでした。


初めて会った時もそうでした。


木の幹に寄り掛かって、眠っていた獄寺。

そのときの寝顔はとても苦しそうで、悪夢にうなされているようでした。

一方こちらも何かに耐えるような、苦しみを内に秘めているような顔でした。


「………」


結局自分は、獄寺を安心して眠らせることは出来なかったのだとリボーンは落ち込みました。

獄寺は夜中にいつもうなされてました。

幼子のように身体を丸めて、自身を抱きしめて。眠っていました。

それを見るのがリボーンはとても辛く、どうにか出来ないかといつも悩んでいたのですが………


(結局…最後まで……無理だったのか)


花を埋め終わりました。

あとは棺の蓋を閉めて、地面に埋めるだけです。

リボーンが蓋を閉めようと、棺に近寄ります。


「……………」


リボーンは黙ったまま蓋に手をやって…そしてその時、確かに聞きました。


「ぅ……」


獄寺の口から発せられる、呻き声を。


「獄寺!?」


慌てて蓋から手を離し、リボーンは獄寺に駆け寄ります。

獄寺の指が、頼りない動きでリボーンの手を掴みます。

まるで迷子の幼子がようやく見つけた母親の手を掴むかのように。