死と無の間
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「オレは、お前を守りたくて守ったんだ。オレが負傷して死んだのはオレが未熟だったからで、お前に落ち度はない」

「で、ですが…」

「勝手に守られて、それで死なれて後味が悪いってことも分かるがいつまでも引き摺るなみっともない。お前はどれだけ気を病めば気が済むんだ」

「そ、そんなこと言われても、」

「うるせえ。…でも、こう言ったところでオレの気が晴れるだけでお前は気にするんだろうな」

「……………」

「…なら、仕方ない。オレにも考えがある。オレも気は進まないが…うじうじしているお前を見るのは忍びないし、お前がそうなったのもオレのせいだしな」

「…リボーンさん…?なにを…」


何故だか嫌な予感がして、獄寺はリボーンを呼ぶ。しかしリボーンはその声には答えず、


「なあ、獄寺」

「は、はい」


笑って、言う。


「もし誰かがオレを思い出したらオレがまた死ぬんだとしたら…その逆ならどうなると思う?」

「ぎ、逆?」


誰も思い出さない場合か?そうなれば現状維持ではなかろうか。

…いや、待て。誰も思い出さない?誰も?


「…お前がオレを忘れたら、オレは一体どうなると思う?」


既に死んだ人間が何故だかそこにいて、けれど覚えているのは一人だけで、他の人間は誰も彼も忘れてて。彼の存在はなかったことにされて。

そんな中で、唯一彼を覚えている人間すらも―――彼を忘れてしまったら?


「り、リボーンさ…」


その結果どうなることか考えることも恐ろしく、条件反射のように思わずその名を呼んだときには既にリボーンは目の前まで来ていて。

トン、と軽く、獄寺の首筋に手刀を一つ。

たったそれだけで獄寺の意識はあっという間に刈り取られ、

意識は急速に闇の中へ滑り込む。


視界が途切れる寸前に聞こえた声は、



「眠っちまえ」



と言っていて。


耳の中に最後に入ってきた声は、



「忘れちまえ」



と言っていた。


リボーンは獄寺をベッドに寝かしてやり、マンションを後にする。

そして―――