死と無の間
11ページ/全11ページ


そして夜が明けた。

朝の光に照らされて、獄寺が目を覚ます。


「………?」


一体いつの間に家に帰ってきたのだろう。何も覚えてない。

学校への支度をして、しかし玄関の戸を開けたところで今日は休日だと気付いた。

戻るのも面倒で、獄寺はそのまま外に出る。


道すがら、誰とも会わない。


河原の土手を歩く途中、初めて誰かと擦れ違った。

それは黒いスーツを着た少年で。

獄寺はその少年と目も合わせることもなく擦れ違う。

擦れ違って数歩進んだところで、獄寺は違和感に捕らわれた。


あの少年を、自分は知ってる気がして。


思わず振り返るも…その少年の姿は、もうどこにもなくて。

煙か幻かのように、跡形もなく消えていて。

ともすれば、それは寝惚けていた自分が見た夢か、気のせいかとも思えるような出来事だけど。

何故だか、どういうわけか、獄寺の両目からは大粒の涙があふれて零れた。

無意識の内に獄寺の口が動き、何かを呟こうとしたけれど。


「――――――」


その口からは、誰の名前も出てこなかった。


++++++++++

あれ?オレ…どうして、なんで……?