死と無の間
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「じゅ、10代目…そんな冗談よして下さいよ」
「獄寺くん…まだ寝惚けてるの?顔洗ってきたら?」
「10代目、オレをからかってるんですか?オレならまだしも、リボーンさんに知られたら怒られますよ」
「だからリボーンって誰?獄寺くんがさん付けする人なんて初めて知ったけど…イタリアでの知り合い?」
「………」
獄寺から見て、ツナが嘘を付いていたりこちらを騙そうとしている素振りは見えない。
けれど、なら矛盾が生じる。自分たちが知り合えたのは何を隠そうリボーンのおかげだというのに。
「10代目、オレが所属しているファミリーは?」
「?…ボンゴレでしょ?それが?」
それが?ではない。そこまで言って、どうしてリボーンの名だけ消してしまうのか。
「10代目は、今時期ボンゴレ10代目として鍛えられていますよね」
「そうだけど…言っとくけど、オレはボンゴレは継がないからね!」
知ってる。困った奴だと笑いながら愚痴るリボーンと何度か話したこともある。
「あいつは、どうしてもオレに継がせたいらしいけど」
「あいつ…」
そのあいつとは、リボーンのはずだ。それ以外考えられない。
だけどツナはリボーンを知らないと言う。なら、聞かなければならない。リボーンの代わりに居座っているその存在の名を。
「あいつ、とは…」
「?…何言ってるの獄寺くん」
またも怪訝顔に戻るツナ。何故そんなことを聞いてくるのか分からないとその顔に書いてある。
「コロネロのこと、忘れちゃったの?」
コロネロ。
リボーンと同じくアルコバレーノの一人。リボーンとは腐れ縁の中だと言っていて、会う度頭突きに始まり銃火器の応酬をしていた。
リボーンの代わりに、コロネロがその位置に収まっている?
どういうことだ?
獄寺は心中でそう思い、席を立つ。確認せねばならない。
「獄寺くん?どこ行くの?」
「ちょっとコロネロに用が出来ました。先に行ってます!」
口早にそう言って、獄寺は教室を去る。
学校から出る途中に幾人か知ってる顔と会った。そいつらもリボーンを知ってるはずだった。
獄寺はリボーンのことを聞いてみたが…結果はツナと同じだった。
誰もリボーンの存在を知らず。
リボーンがいたはずの位置に、コロネロがいる。
これが獄寺を驚かせようと計画されたドッキリでないことは雲雀と話したときに確信した。雲雀がこういう嘘を付くはずがない。
ドッキリであれば、まだ笑い話で済ませれたのだが。
獄寺はツナの家に行き、上がらせてもらう。
ツナの部屋に入ると、そこにはなるほど、確かにみんなの言う通りにコロネロの姿があった。
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