死と無の間
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「獄寺か。どうしたんだ、コラ」
「………」
コロネロの姿は獄寺と同い年ぐらい。呪いが解けてきたのか、その姿は日に日に成長…というか、呪われる直前の姿に戻っている。
リボーンも、そうだった。
呪いが解かれ、身体の不調も解消し、次の日会うと数年分成長した姿で会うリボーンに驚いて。
こんなんで驚くな。完全に元の姿に戻ったオレは超格好いいんだぞ。その時お前、オレに惚れるなよなんて、そんな会話をしていて。
笑い合って、いたのに。
「リボーンさんはどこに行ったんだ?」
「リボーン?」
コロネロは首を傾げる。
「そりゃ誰だ?」
そう反応するコロネロに、嘘の様子は見えない。
消えたリボーンの席に無理やり座らせられただけで、コロネロも関係ないのか。
それとも…
みんなの言う通りにリボーンなんて人は最初からいなくて。
全部自分が見た夢を現実と履き違えてるだけなのでは…
一瞬でもそう思ってしまい、獄寺は頭を振る。考えを捨てる。
「どうした?」
「何でもない」
獄寺は落ち着けと念じる。馬鹿なことは考えるなと脳に命令する。
会って、話して、指導してもらって、見守られて、今日まで散々世話になって。
それを全部夢でしたで済ませる気か?誰も覚えてない程度で?
冗談ではない。
その程度で諦めきれるわけがない。
獄寺はリボーンを探す。
宛てもなく。
最初に来たのは出会いの場。並中の中庭。
当然ながらいない。誰もいない。
学校といえば、と獄寺は壁に寄り消火栓を調べる。
その昔、学校の空きスペースを利用して作られたリボーンのセーフハウスで色々とためになる話を聞かせてもらった。
…紅茶を淹れてもらったな……
そんなことを思い出しながら獄寺は消火栓を開く。
そこには消火ホースが収められてるだけだった。
「………」
場所を間違えてるわけではない。確かにここで合ってる。
獄寺は走る。
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