死と無の間
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いない。
リボーンがいない。
その面影すら見当たらない。
どうしていないのか。何故こうなってしまったのか。
分からないまま、獄寺は走る。
様々な所を駆け抜け、何も見つからないまま得られぬまま最後に辿り着いた場所は…何の変哲もない道端。
しかしそこは忘れられない場所。
リボーンが、獄寺を庇った場所。
「………」
アスファルトには、分かりづらいが血の跡が残っていたはずなのに。
それも今や見つからない。
獄寺は力なく項垂れ、呟く。
「一体…どこに行ってしまったんですか……リボーンさん」
その呟きは小さくて。
自分すら聞き取れなかったのに。
「―――呼んだか?」
聞き覚えのある、何故か懐かしく感じる、ずっと探していた声が返ってきて。
獄寺が顔を上げ振り向くと、一つの大きな木があって。
その影から、黒い誰かが顔を出していた。
少し疲れた顔をしているその人こそ、紛れもなく…
「リボーンさん!」
獄寺は慌てて駆け寄る。自分以外の誰からも忘れられた、その存在を消されたその人の所へ。
近寄り、息を整え、今までの不安をぶつけるように叫ぶ。
「一体これはどういうことですか!!」「一体これはどういうことなんだ?」
二人の声は同時で、獄寺はリボーンすら事態を把握していないと知る。
「オレにも何がなんだか…起きたら誰もリボーンさんを覚えてなくて、リボーンさんのセーフハウスもなくなってて…」
「オレも気付いたら外にいてな。誰もオレを知らないし携帯電話も使えない。戸籍もなくなってた」
…戸籍があったのか。
そんなことを思いつつも獄寺は安堵していた。
今、リボーンが目の前にいる。
そのことが、嬉しかった。
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