その選択が、全ての過ち
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「獄寺隼人氏は酷く暴れていたので…薬を打って強制的に大人しくさせました」


そう言ってくるチェルベッロを尻目に、入江と白蘭は獄寺の前に立つ。

近づいてくる影に気付いたのか、獄寺は緩慢な動きで俯いていた顔を上げた。薬のせいか、その目は少し濁っていた。

…が、それも目の前の人物を見ることにより直ぐに色を取り戻す。それは鋭利な刃物のような殺意の目。


「入江…正一…!!!」

「…初めましてですね。獄寺隼人さん」


身体の自由を奪われているにも構わず、獄寺はそんなもの関係ないといわんばかりに今にも攻撃せんとばかりに入江を睨みつける。その気迫に、入江は内心冷や汗を掻いていた。


「お前さえいなければ10代目も…そしてリボーンさんも…!」

「何の事情も知らないあなたに殺されたくはありませんけどね」

「うるさい!お前だけは…絶対に!!」

「ククク。怒った顔も美人で可愛いー」

「ああ?誰だてめぇ」

「僕?僕は白蘭。…以後、よろしく」

「白蘭…?…そんな奴はどうでも良い!オレが用があるのは入江正一だけだ!!


「どうでも良い!?」


ガーン!とそんな大きな効果音が聞こえたような気がした。


「ど…どうでも良いってなに!?どうしよう正ちゃん!僕どうでも良いって言われた!!

事実どうでも良いでしょう白蘭様。…今、この世界において生存権が認められているのはこの僕と!獄寺隼人だけです!!

あれー!?なんて冷たい言われよう!?なんで!?何事!?ていうか下克上!?

「お前さっきからうるさいな…。てめーに用はねーんだよ。なんだお前。入江の部下か? 消えろ」


「上司!僕正ちゃんの上司!!ていうかここの総大将僕だから!!!


「知るか」

またあっさりと哀しいこと言われたー!!なんで!?隼人ちゃんのこの正ちゃんと僕との扱いの差は何!?」

「つーか…白蘭ってあれだろ?10年後のオレ曰く、入江がいなかったら何の問題でもなかった、言わばヘタレ


「ヘタレ!?エイチ・イー・ティー・エー・アール・イー即ちHE・TA・RE!?


「うぜー」


「酷!」


「…白蘭様、今のは僕も正直うざいと思いましたよ」

「えぇ!?」


ガガーン!!更に白蘭の頭上でそんな効果音が響いた。