それは懐かしい、そして初めての時間
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「それで、これって一体どういう事なのか…リボーンさん、お分かりになりますか?」
「オレもこれまで色んな経験をしてはきたがな、流石に10年前に死んだ奴がいきなり現れる現象に心当たりはない」
オレがそう言えば、獄寺はそうですかと落胆した様子すらなく呟く。
「しかし、流石ですねリボーンさん」
「何?」
「死んだオレがこうして現れたのに、取り乱さず慌てないなんて」
とはいえ、そんなリボーンさん想像すら付きませんが。と言いつつ獄寺は笑う。
対して、オレは変わらず仏頂面の突き放した口調で言う。
「夢で見たからな」
「夢…ですか?」
「ああ。―――こうして、オレとお前が向かい合って話している夢だ」
その通り、言った通りにオレは夢を見た。
朝、死んだはずの獄寺が何故かオレの寝具で寝ており、起きて、オレと話す。
今、まさにこうしているように。
「予知夢…って奴ですかね。凄いですね、リボーンさん」
「どうだろうな。…そして、まあ、ついでに言っておくが、」
「はい」
「夢では、日が落ちる頃お前は消えた」
そう言われても、獄寺はやはり特に狼狽える感情も見せず、
「おやまあ」
なんて、そんな間抜けな感想を漏らすだけだった。
獄寺が最後のビスコッティを頬張る。
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