争奪戦
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勝 て る か !
それが率直な感想であった。しかしむざむざと相手に愛しの右腕とのデート権利を与えるだなんてことは出来ない!!
負けられない!!
さてどうする。タイマンではまず勝てない。しかし隣にいる変態と組むなどと考えたくもない。
どうする、どうする…!!!
と、思い悩んでいると、
「すまんツナ!!死んでこーい!!!」
「のわぁああああああああああ!?」
突如体が浮き、雲雀さんの方へと投げつけられた。
見れば山本が黒い笑みを浮かべながら明後日の方向…レオンのいるところへと駆けているのが見えた。
しまった!このままでは獄寺くんが山本の慰み者になってしまう!!
それだけは絶対に避けなければ!!!
「雲雀さん、山本を―――」
「キミ、邪魔」
ゴン、と頭に打撃音。雲雀さんにトンファーで殴りつけられる。痛い。
雲雀さんはオレの横を颯爽と通り過ぎ山本のところへと向かう。オレだって負けてられない。オレも向かう。
三つ巴のレオン争奪戦。勝つのは…
「オレだあああぁぁぁぁあああああああ!!!」
死ぬ気でやればなんでも出来る!!
久々の超死ぬ気モード発動!!
レオンを追う山本。
山本を追う雲雀さん。
二人を追うオレ。
逃げるレオン。
そこに。
「ただいま戻りましたー…って、何してるんですか?10代目」
「ご、獄寺くん!?」
なんと獄寺くんが帰ってきた。
レオンが逃げ場を得たとばかりに獄寺くんに飛びつく。
「ん?レオン?」
チャンス!!
「獄寺くん!!こっち!!来て!!」
「あ、はい」
レオンを抱いた獄寺くんは山本をよけ雲雀さんをよけ…オレのところまで走ってきてくれる!!
「なんでしょう10代目」
「獄寺くん!!」
来てくれた獄寺くんをレオンごと抱きしめる。
「じゅ、10代目?」
「―――そこまで!!勝者ツナ!!」
どこから見てたのか、リボーンが現れ宣言する。
「ちょっと待てよ小僧。今のはずるいんじゃないか?」
「そうだよ。彼の乱入がなければ勝ったのは僕だった」
山本と雲雀さんが非難の声を上げる。
「意義は却下する。ルールはあくまでレオンを捕まえた奴が勝者。たったそれだけだ。何を利用しようと関係ない」
「リボーン…」
なぜかオレは感動した。あのリボーンがオレのためじゃないとはいえオレの味方になるような発言を…
「よってツナには獄寺と一日デート権を与えるぞ」
「よっしゃあああああああああああああ!!!」
「へ?デート?」
「深く考えるな。ツナと一日行動を共にすればいい。ちなみに有効期限は三日以内だ」
「そんなのすぐに消化するに決まってるじゃん!!今から…いや明日の朝一から!!」
「え?いや、明日は…」
「ダメ?なら明後日…」
「いえ、オレ明後日から任務で…」
「えー!!」
「いい。獄寺。明日の用事にツナも付き合わせろ」
「しかし…」
「獄寺くんが良ければ是非!!この必死で手に入れた権利手放したくないーーー!!」
「わ、わかりました…でも面白いことはないですよ?」
「ありがとう獄寺くんーーー!!」
オレは涙を流して喜んだ。
「ところで、なんの用事なの?」
「リボーンさんに頼まれて…買い物に。あ、荷物は全部オレが持ちますから!!」
「いやいや!オレも持つから!!獄寺くんばかりに負担はかけられないよ!!」
「でも…多いですよ?」
「だったらなおさらだよ!!」
「そーだ。お前らオレのために効率よく働け」
…リボーンこの野郎……
「リボーンさん…はい……」
って獄寺くん何故かときめいてるしー!!
ちくしょう!!なんで獄寺くんはこんな奴がいいんだ馬鹿野郎!!
「明日は張り切っていきましょうね10代目!!」
「う…うん……」
そして翌日オレは無事獄寺くんとデートをした。
ただお使いのリボーンの荷物がえらい重かったのと、この行為がリボーンのためになるのと、獄寺くんがそのことを嬉しそうにしているのを見てやや悲しくなったことは秘密だ。
++++++++++
くうう…獄寺くん!オレを見て…!!
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