救い救われ
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「オレはお前を助けようとしたけど、お前を助けられるとは思ってはいなかった」


リボーンさんの独白は続く。


「オレはまた、人の死を見る羽目になるんだと思ってた」


………ん?

また?羽目?

今度はオレが小首を傾げた。


「そういえば言ってなかったな、獄寺」


リボーンさんはひと呼吸置く。


「オレが意識を止める人間は、オレが見るとすぐに自殺を図るんだ」


まるでオレが見たから自殺をするかのように。

そういうリボーンさんは笑っていて、しかしどこか薄っぺらい表情だった。


「最悪だ。辛い。オレは止めようとするんだが、分かっての通りオレは誰にも見えないし触れられない。オレの目の前で、オレのすぐ傍で、あいつらは死ぬんだ」

「………」


それは…どれほどの苦痛だろう。

目の前で死にゆく誰かを、止めようとしてもその手は届かず、届いてもすり抜けて。

どう足掻いても、願いは叶わず、だからと言って傍観することもできず、毎回無力に打ちひしがられる。


「だけど―――だから、お前を助けられたときは、お前に救われたよ」


なんて言いながらリボーンさんは…表情を一転させて、明るい笑顔でそう言った。


「どうしてお前に見えるとか、なんでお前に触れられるとか。理屈は分からないがそんなことがどうでもいいと思えるぐらい救われた」


………狡いなあ。

オレが言いたかったのに、オレが言う前に、言うなんて。

自殺を止められた程度じゃ、オレはまた自殺を図ろうとしただろうけど。

あなたのオレを見る目に、あなたのオレに対する態度に、オレだってあなたに救われたというのに。

自殺なんてどうでもいいと思えるぐらいに、救われたというのに。

だけど、ならば、だからこそ。


「じゃあ、もう会わないなんて言わないでくださいよ」

「………」


あの日、リボーンさんと会って、夕暮れになるまで話して、リボーンさんに帰らなくていいのかって言われて。

リボーンさんと別れるぐらいなら、帰らなくてもいいと思ったけど。そもそもオレには帰る場所なんてないけど。寝泊りする場所はあってもあそこを家とは呼んでないし思ってもないけど。

だけど、頃合いかなとも思った。


夢の終わりの。


正直、夢だと思ってた。

リボーンさんと別れて、寝て、起きて、朝を迎えたらリボーンさんは消えてなくなってるんだと、思ってた。

翌日あの公園に向かったのは、その確認のためだった。リボーンさんがいないということを確認するためだった。


だけど。


リボーンさんは、その場所にいて。

………夢じゃ、なくて。

現実で。

またリボーンさんと話せて。


嬉しくて。

嬉しくて。


光が差したと思ったのに。