救い救われ
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それから。オレは暫く不安定だった。

リボーンさんがいない。

それはオレにとってかなりの衝撃をもたらして。

リボーンさんのいない人生なんて。なんて思って、死を選ぼうとしたことは一度や二度ではない。

そもそもリボーンさんと初めて会った日も、オレは自殺をしようとしていたものだ。

それでもなんとか堪えて、自殺は未遂に終わり生き続けて、ようやく落ち着いてきて。

リボーンさんには強くなれと言われてけど、強くなるということがどういうことなのかよく分からなかったのでひとまず義務とやらを果たすことにした。

なんにしろ、人の目にも慣れないといけないだろうし。


オレは学校に通った。


一応、オレは学生だった。あいつらが遠くに行ってから役所とか支援団体とか、そういうのがそういう手続きを取ってくれていた。

と言ってもオレはずっとサボっていて、正直無駄だと思っていたが……何がどう転ぶかわからないものだ。

ずっと通ってなかったから、もしかしたら退学扱いになっているかもしれないと思ったがそんなことにもなってなく。

しかし急に行くのは躊躇したのでオレは真新しい教科書の内容を理解してから行くことにした。

割とあっさり理解して、予定よりも早くオレは復学した。

しかしまあ、だからといって何かが劇的に変わるはずもなく。

しばらくはずっとひとり。奇異の視線にさらされ続けた。

だけど、いつからか。何がきっけかだったのか。


オレにも声を掛けてくるような奴が、現れて。


オレはこんなで、人付き合いというやつがよく分からなくて、よく衝突もしたけれど。(リボーンさんは例外だ。例外中の例外)

それでも次の日には―――早ければ数時間後には、また関わりを、持って。


オレにも友というものが、出来て。


リボーンさんと一緒にいる時でしか感じられなかった感情を、持つことが出来て。

……なんだかんだでオレは、その昔あいつらに言われたことが基盤になっていた。

あいつらが間違っていると思っていたけど、あいつらに言われ続けた言葉と態度を他人からも投げられるのだろうとも思っていた。


違った。

そんなことなかった。


オレが一方的にそう思っていただけで、オレから近付かなかっただけで、ただただオレが誤解しているだけだった。

それまで世界中がオレの敵だとすら思っていたこともあったのに。馬鹿みたいだ。

世界はオレを憎むために存在してないし、それほど暇じゃないし、そんなにオレに関心も持ってない。

それに気付くのは、単純に一歩踏み出せば、それで、それだけでよかったのに。

今までのオレは、その一歩すら踏み出さず、そうに違いないと決めて付けて、停止していた。

リボーンさんがオレを心配するのも頷ける。


でも。


もう、気付きましたよ。

オレは歩き出しましたよ。


あれから―――あの日から、もう10年が経ちましたよ。