救い救われ
3ページ/全15ページ


「…とりあえず、こっちに行きましょうか」

「ん?ああ」


オレは道を曲がり、リボーンさんもついてきた。

少し歩いて、オレたちは公園に辿り着く。

誰もいない公園。

寂れて、古くなって。誰も使わなくなった公園。

オレはその中に入り込み、手近なベンチに座る。

口元には一応、変わらず携帯電話。誰が通りかかるか分かったものじゃない。

リボーンさんはオレの前に突っ立っていた。目で促すと意外そうな顔をしてオレの隣に座った。


「立ったままの方が良かったですか?」

「いや、立つも何も、座ったことがなかった」


それはすごい。

オレは素直に感心した。


「リボーンさんは、あれですか。俗に言う幽霊って奴ですか」

「どうだろうな。その割にはお仲間とか言う奴を見かけたこともないが。そういうお前は、あれか。俗に言う見える人って奴か」

「いえ、オレには霊感の類はないようで幽霊なんて見たことありませんね」

「そうか」

「ええ」


一区切りついて、それからは雑談に時間を費やした。

リボーンさんとの会話は、とても新鮮だった。

そしてその会話の終わりは、リボーンさんの一言であっさりと終わった。


「そろそろ、帰らなくていいのか?」

「え?」


気付けば辺りは夕焼けに照らされていて。

なるほど、世間一般的にはそろそろ帰路に着くべき時間、なのかもしれない。

…それに、まあ…もう潮時か。


「……そうですね。じゃあ、オレはもう行きます」

「そうか。それがいいな」


オレは立ち上がる。リボーンさんは座ったまま。

…リボーンさんは帰らないのだろうか。

まあ、いいや。


「さようなら。リボーンさん」

「ああ。じゃあな、獄寺」


オレは振り返ることもなく公園を後にした。

もう、会うこともないだろうと思いながら。


―――そう思ったのに。