救い救われ
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「…とりあえず、こっちに行きましょうか」
「ん?ああ」
オレは道を曲がり、リボーンさんもついてきた。
少し歩いて、オレたちは公園に辿り着く。
誰もいない公園。
寂れて、古くなって。誰も使わなくなった公園。
オレはその中に入り込み、手近なベンチに座る。
口元には一応、変わらず携帯電話。誰が通りかかるか分かったものじゃない。
リボーンさんはオレの前に突っ立っていた。目で促すと意外そうな顔をしてオレの隣に座った。
「立ったままの方が良かったですか?」
「いや、立つも何も、座ったことがなかった」
それはすごい。
オレは素直に感心した。
「リボーンさんは、あれですか。俗に言う幽霊って奴ですか」
「どうだろうな。その割にはお仲間とか言う奴を見かけたこともないが。そういうお前は、あれか。俗に言う見える人って奴か」
「いえ、オレには霊感の類はないようで幽霊なんて見たことありませんね」
「そうか」
「ええ」
一区切りついて、それからは雑談に時間を費やした。
リボーンさんとの会話は、とても新鮮だった。
そしてその会話の終わりは、リボーンさんの一言であっさりと終わった。
「そろそろ、帰らなくていいのか?」
「え?」
気付けば辺りは夕焼けに照らされていて。
なるほど、世間一般的にはそろそろ帰路に着くべき時間、なのかもしれない。
…それに、まあ…もう潮時か。
「……そうですね。じゃあ、オレはもう行きます」
「そうか。それがいいな」
オレは立ち上がる。リボーンさんは座ったまま。
…リボーンさんは帰らないのだろうか。
まあ、いいや。
「さようなら。リボーンさん」
「ああ。じゃあな、獄寺」
オレは振り返ることもなく公園を後にした。
もう、会うこともないだろうと思いながら。
―――そう思ったのに。
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