救い救われ
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「だとすると、ますますオレに触れられるのが不思議ですね」
「そうだな」
あの時、リボーンさんもまさか本当にオレに触れられるとは思っていなかったようで内心ではかなり驚いていたらしい。
「でも、本は見られなくても映画なら見放題なんじゃないですか?」
「映画……興味はあるんだがな。あそこに入るには料金がいるんだろ?オレは金を持ってない」
「いえ…ほら、誰にも見えないんですから、堂々と入れば……」
オレがそう言うと、リボーンさんはきょとんとした顔をオレに向ける。
「そんなことしちゃ、駄目だろ」
うわあ。
この人、いい人だ。
透明人間になれたら、とかいう議題で犯罪を行う人種に見せてやりたい。
まあ、それはともかく。
「じゃあリボーンさん、オレと街まで行きませんか?」
「ん?…ああ、そうだな」
立ち上がり、振り向いてリボーンさんに手を伸ばす。
リボーンさんは、腕を伸ばしてオレの手を掴んだ。
…触れられる。確かに握る手の感触が、ここにある。
リボーンさんは、ここにいる。
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